全 情 報

ID番号 04955
事件名 労働者災害補償認定請求事件/採決取消請求事件
いわゆる事件名 鈴木炭礦事件
争点
事案概要  労働災害の発生につき会社側に重大な過失があったとして給付制限がなされたのに対して、会社が右保険給付の支給制限を争った事例。
参照法条 労働者災害補償保険法19条(旧)
体系項目 労災補償・労災保険 / 審査請求・行政訴訟 / 審査請求との関係、国家賠償法
労災補償・労災保険 / 補償内容・保険給付 / 保険料の怠納、労働者側の重過失等による給付制限
裁判年月日 1951年7月31日
裁判所名 水戸地
裁判形式 判決
事件番号 昭和26年 (行) 1 
裁判結果 棄却
出典 労働民例集2巻4号495頁
審級関係 上告審/04969/二小/昭30. 1.28/昭和28年(オ)251号
評釈論文
判決理由 〔労災補償・労災保険-審査請求・行政訴訟-審査請求との関係、国家賠償法〕
 本件訴が労働者災害補償保険法による保険給付に関する決定の当否を争うものであることは当事者間に争いない。そして又後に述べるように原告会社は被告茨城労働基準局保険審査官の決定に対して昭和二十五年五月十九日茨城県労働者災害補償保険審査会に審査の請求をしたところ、同審査会は同年十月三十一日附をもつてこれを却下する旨の決定をしたことは当事者間に争いないのであるから本件訴は右保険審査会の審査を経たものであること明らかである。尤も右却下決定の理由は該審査請求が法定期間を遵守しない不適法なものであるから審査する限りでない者いうにあることは原告会社自ら陳述するところであるけれども、かかる場合も労働者災害補償保険法第三十五条に所謂審査を経た場合に該当するから右抗弁は採用出来ない
〔労災補償・労災保険-補償内容・保険給付-保険料の怠納、労働者側の重過失等による給付制限〕
 原告会社としては前記のような言葉を以て増産を要望するならば、採炭夫が危険区域にまでも立ち入つて採炭をなすやも計り難いことは当然予想し得べきであつたといわねばならず、しかも第三切羽は危険箇所として支柱こそ立てたが立入遮断の設備を施さなかつたのであり、これがためA、Bの両名が右第三切羽に入つて採炭に従事したため本件落盤事故を惹起したものとみるべく、該事故について原告会社に過失の責あることは明らかである。しかも前記の如く敢えて、「ヤンチヤ掘り」をしてゞも掘れるところから掘れと申し入れて出炭増加を要望するが如きは、危険予防に対する注意義務を甚しく懈怠したものという外なく、本件事故について原告会社に重大な過失ありと認めるのが相当である。尤も採炭夫自身も危険を避けるため注意すべきは当然であつて、少くとも第三切羽が廃坑であることを知つていたAについては本件事故につき過失があつたと認むべきではあるけれども、これがため原告会社において右過失の責任を免れ得べきものではない。してみれば本件A、Bの罹災事故について被告日立労働基準監督署が労働者災害補償保険法第十九条前段を適用し保険給付制限の決定をしたこと及び被告茨城労働基準局保険審査官が原告の審査請求を却下する旨の審査決定をしたことはいずれも正当であつて、これらの決定の取消を求める原告の本訴請求は理由がないからこれを棄却する。