全 情 報

ID番号 05039
事件名 労働者災害補償保険不支給決定通知処分取消請求控訴事件
いわゆる事件名 島田労基署長事件
争点
事案概要  飲酒のうえで勤務しようとして注意され同僚と口論したあと勤務についた会社守衛が右同僚から呼び出しを受け、守衛所の外でもみあいになりその際に転倒して脳内出血により死亡したケースで業務上か否かが争われた事例。
参照法条 労働基準法79条
労働者災害補償保険法12条(旧)
体系項目 労災補償・労災保険 / 業務上・外認定 / 暴行・傷害・殺害
裁判年月日 1979年3月28日
裁判所名 東京高
裁判形式 判決
事件番号 昭和51年 (行コ) 91 
裁判結果 棄却(確定)
出典 訟務月報25巻7号1882頁
審級関係 一審/05171/静岡地/昭51.12. 7/昭和50年(行ウ)2号
評釈論文
判決理由 〔労災補償・労災保険-業務上・外認定-暴行・傷害・殺害〕
 控訴人は、Aの死亡につき、酒気を帯びている同人の就労を認めるかどうかという業務上のトラブルが原因となつたことを理由に、同人の死は業務に起因することが明らかである旨主張する。しかしながら、原判決認定の事実関係に徴するに、本件の出来事のそもそもの原因は、Aが交代のため守衛室に入つてきてしばらくしてからの口論であり、その口論が酒気を帯びているAの就労の可否という業務に関する事柄を巡るものであることは確かであるけれども、同じく右事実関係からすると、Aは、その口論の際にはまだ勤務に就いていなかつたものであるところ、右口論中馬鹿野郎と言つたため、相手のBから約一〇分後に守衛室外に呼び出され、原判決認定のもみ合い(その際の言葉のやりとりは定かでない。)となり、その結果転倒して後頭部を舗装面に強打しこれが致命傷となつてAの死を招いたことが認められるから、かかる死亡事故をもつて業務に起因するものとすることは到底不可能である。したがつて、控訴人の右主張は、採用することができない。