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ID番号 05285
事件名 公務外認定処分取消請求控訴事件
いわゆる事件名 地方公務員災害補償基金兵庫県支部長事件
争点
事案概要  児童相談所において相談調査業務に従事する県職員の頚肩腕症候群につき、公務起因性なしとされた事例。
参照法条 地方公務員災害補償法45条
体系項目 労災補償・労災保険 / 業務上・外認定 / 業務起因性
裁判年月日 1989年8月29日
裁判所名 大阪高
裁判形式 判決
事件番号 昭和59年 (行コ) 49 
裁判結果 認容(上告)
出典 行裁例集40巻8号996頁/時報1380号54頁/タイムズ714号137頁/労働判例552号77頁/判例地方自治65号45頁
審級関係 一審/神戸地/昭59. 7.19/昭和54年(行ウ)20号
評釈論文
判決理由 〔労災補償・労災保険-業務上・外認定-業務起因性〕
 (七) そこで、以上において認定した事実を前提に本件疾病と公務の関連について検討するに、被控訴人の従事した業務は、これに従事している者が本件疾病である頚肩腕症候群を発症したとき、右業務と疾病との間に相当因果関係が認められるとして一般に認められた場合でなく、また、被控訴人が主張するように被控訴人の業務が一般的にみて過重といえる程のものではないし、その業務に目立つた大きな波が認められず、さらに被控訴人の置かれた執務環境等も格別劣悪なものではなく、他方、被控訴人は本件疾病発症後業務を軽減され少なくとも右発症後一〇年を経過するも明確な改善は認められず、また、右発症前において、被控訴人は職場における組合活動等を巡る人間関係において、精神的苦痛を感じる状況になかつたとはいえないし、その他右疾病治療の過程において(右発症前における身体状況は明らかではない。)ではあるが、低血圧の傾向を示しているなど、被控訴人の従事した業務の業務量、業務態様、執務環境及び本件疾病の発症前後の経緯等からすると、被控訴人の従事した業務が本件疾病発症に何らかの関連を有することは否定できないとしても、右業務に従事したことが相対的に有力な発症又は憎悪の要因となつたものとは認め難いといわざるを得ず、本件疾病は、むしろ被控訴人の身体的ないし精神的要因が絡み合つて発症した疑いがあり、結局、被控訴人の本件疾病と公務との間には相当因果関係は認められないというべきである。