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ID番号 05317
事件名 災害補償実施勧告取消請求事件
いわゆる事件名 青森労働基準監督署長事件
争点
事案概要  労働基準監督署長の労働者災害補償に関する審査決定を労働者災害補償審査会が支持する決定をした場合、原審査決定を求めるについて労働基準監督署長は被告適格を有するとされた事例。
参照法条 労働基準法85条
労働基準法87条
体系項目 労災補償・労災保険 / 審査請求・行政訴訟 / 行政処分の存否、義務づけ訴訟等
裁判年月日 1951年11月19日
裁判所名 青森地
裁判形式 判決
事件番号 昭和25年 (行) 39 
裁判結果 認容
出典 労働民例集2巻6号714頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労災補償・労災保険-審査請求・行政訴訟-行政処分の存否、義務づけ訴訟等〕
 よつて先ず本件弁論及び裁判を「被告の当事者たる適格欠如の抗弁」の当否に限定して按ずるに、一般にある行政処分に対する不服申立を受けた上級行政庁が審査の上、原処分を相当と認め維持する旨の判断をした場合、不服申立人がこの判断の取消変更を訴求すると原処分自体の取消変更を求めると、将た又この両者を訴訟物として同時に出訴するとは一つにその自由裁量に属するものと解しなければならないことは行政事件訴訟特例法第二条の解釈上殆んど疑の余地がなく、所論労働基準法第八六条第二項の規定は毫もこの見解と矛盾するものではない。そして今原処分の取消変更を求める判決が確定したときは該判決はその事件につき関係行政庁を(従つて該判決の趣旨に牴解する内容の決定をした上級行政庁をも)拘束することは行政事件訴訟特例法第一二条に照し一点疑義の存しないところであるから、上級行政庁のした審判は右判決の確定と同時に該判決の趣旨と齟齬する限度において何等の措置を俟たず当然消滅するものといわざるを得ない。
 果して然らば原告が上級行政庁たる青森労働者災害補償審査会を相手とせず、その下級行政庁たる被告を相手として提起した本訴に毫も所論のような違法不当の廉が存しない。