全 情 報

ID番号 05522
事件名 地位保全仮処分申請事件
いわゆる事件名 相模野病院事件
争点
事案概要  勤務実績が悪く、職務に必要な適格性を欠くとして解雇された病院勤務の助産婦が地位保全の仮処分を申請した事例。
参照法条 民法627条1項
労働基準法89条1項3号
労働基準法39条
労働基準法134条
体系項目 解雇(民事) / 解雇事由 / 勤務成績不良・勤務態度
年休(民事) / 年休取得と不利益取扱い
裁判年月日 1991年3月12日
裁判所名 横浜地
裁判形式 判決
事件番号 昭和62年 (ヨ) 827 
裁判結果 申請却下
出典 労経速報1422号24頁/労働判例583号21頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-解雇事由-勤務成績不良・勤務態度〕
 右認定事実によれば、債権者は、分娩の経過観察、当直者としての任務、物品の保管、医師の指示の履行、他の看護職員との間でなされる申し送り等、債務者病院の助産婦としての役割を果すことにおいて欠ける点があるだけでなく、債権者自身がその欠点を改めることを拒否し、独善的、他罰的で非協力的な態度に終始したために、他の職員との円滑な人間関係を回復し難いまでに損ない、債務者病院の看護職員として不可欠とされるところの共同作業を不可能にしてしまったのであるから、債権者には債務者病院の就業規則第三六条第三号の「その職務に必要な適格性を欠くとき」に該当する事由があるというべきである。
〔年休-年休取得と不利益取扱い〕
 債権者本人尋問の結果によれば、債務者病院は、債権者が中国旅行から帰国した後に、債権者を産婦人科病棟から看護部に配置換えし、看護部において主としてガーゼ畳みなどの単純作業をさせ、助産婦としての仕事をさせなかったなど、解雇に至るまでほとんど仕事らしい仕事を与えなかったことが認められる。
 しかしながら、債務者病院が債権者に助産婦としての仕事を与えなかったのは、債権者が他の看護職員の間で夏期休暇の調整をしないまま長期間の休暇をとったため、それらの職員の反発を招き、一緒に仕事をすることを拒否されたからであり、その原因は主として債権者のわがままにあったので、やむを得ず看護部に配置換えして様子をみていたものである。ところが、それにもかかわらず、債権者が、従来の勤務ぶりを反省し、謙虚に批判を受け入れるどころか、専ら他の職員や債務者病院に対する批判に終始していて折り合おうとしなかったので、債務者は、債権者を解雇したものである。したがって、これをもって年次有給休暇の取得に対する報復として看護部に配置換えしたり、本件解雇をしたものということはできない。