全 情 報

ID番号 05645
事件名 災害補償義務不存在確認請求事件
いわゆる事件名 三品建設・池田労基署長事件
争点
事案概要  使用者が、業務上死亡した労働者についての労基署長の遺族補償の決定を争った事例。
参照法条 労働基準法85条1項
体系項目 労災補償・労災保険 / 審査請求・行政訴訟 / 審査請求との関係、国家賠償法
裁判年月日 1952年4月23日
裁判所名 徳島地
裁判形式 判決
事件番号 昭和27年 (行) 2 
裁判結果 棄却
出典 労働民例集3巻2号197頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労災補償・労災保険-審査請求・行政訴訟-審査請求との関係、国家賠償法〕
 行政訴訟を提起し自己に有利な判決を受けるには、その要件の一つとして行政庁によつて国民の権利義務に対し法律上の効果を発生させる行為がなされたことを要するのであつて仮令行政庁によつて国民に対する行為が為されてもそれが国民を法的に拘束することなく、その権利義務について法律上の効果の発生を来さない場合、例えば行政庁の一種の注意、勧告、戒告、希望等であるときはそれに対し、行政訴訟を提起してその当否を争うが如きは何等訴の利益がないものである。本件についてこれをみるに、原告が第一次的及び予備的請求につきその主張するところは、訴外Aが昭和二十五年四月十一日徳島県三好郡三縄村字(略)におけるB株式会社徳島支社々宅平家建亜鉛平鉄板葺屋根コールタール塗装工事施行中死亡したが被告監督署長は右Aを原告会社の業務に従事する労務者と認め同年十一月九日原告に対し災害補償費を支給すべき旨の決定をなしたが、右決定は無効乃至違法であるからその無効確認乃至取消を求むと謂うにある。然し右被告監督署長の決定は災害補償に関する紛争をできうる限り簡易迅速に解決せしめるために認められた一種の勧告的性質を有するものに過ぎないものであつて国民の権利義務に法律上の効果を及ぼすものではないから原告はこれによつて何等法律的拘束を受けるものでないものというべく従つて右決定の無効確認乃至取消を求めるため訴訟を提起する利益がない。