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ID番号 05651
事件名 災害補償実施勧告取消請求上告事件
いわゆる事件名 日本医療団事件
争点
事案概要  労基署長のした労災補償実施勧告につきその取消が訴えられた事例。
参照法条 労働基準法78条
労働基準法85条
体系項目 労災補償・労災保険 / 審査請求・行政訴訟 / 審査請求との関係、国家賠償法
労災補償・労災保険 / 補償内容・保険給付 / 保険料の怠納、労働者側の重過失等による給付制限
裁判年月日 1956年10月30日
裁判所名 最高三小
裁判形式 判決
事件番号 昭和27年 (オ) 1280 
裁判結果 上告棄却
出典 民集10巻10号1324頁/訟務月報3巻1号84頁/裁判集民23号707頁/ジュリスト121号91頁
審級関係 控訴審/仙台高/   .  ./不明
評釈論文 法学協会雑誌75巻2号224頁/法曹時報8巻12号7頁/民商法雑誌35巻4号121頁
判決理由 〔労災補償・労災保険-補償内容・保険給付-保険料の怠納、労働者側の重過失等による給付制限〕
労働基準法七八条の場合に、行政庁が過失の認定を拒否したときには、使用者は、行政事件特例法二条によつて取消を求める訴を提起すべきであつて、所論のように労基法八五条による審査の請求をすることはできないものと解すべきである。
〔労災補償・労災保険-審査請求・行政訴訟-審査請求との関係、国家賠償法〕
 論旨は、使用者が監督署長の審査決定に従わない場合は、労基法一〇二条によつて告発され、その結果同法一一九条によつて処罰されることになるから、審査決定の取消を求める利益があると主張する。しかしこの場合使用者が処罰されるのは、審査決定に従わないためではなく、同法七五条乃至七七条、七九条、八〇条の補償または葬祭料を支払わないためである。審査決定の有無は右告発及び処罰とは法律上の関係はない。すなわち同法八五条による審査の請求がなく、決定がない場合でも右各条に違反すれば告発され処罰を受け、また審査決定があり、これに従わなくても、補償支払の義務がなければ処罰されることはない。論旨は理由がない。