全 情 報

ID番号 05757
事件名 地位保全・金員支払仮処分申立事件
いわゆる事件名 いせや事件
争点
事案概要  パチンコ店経営会社の代表取締役の母親で、パチンコ店の業務に従事している者と右会社との関係が雇用関係かどうかが争われた事例。
参照法条 労働基準法2章
民法623条
体系項目 労働契約(民事) / 成立
裁判年月日 1991年4月8日
裁判所名 大阪地
裁判形式 決定
事件番号 平成3年 (ヨ) 196 
裁判結果 一部認容,一部却下
出典 労働判例590号50頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労働契約-成立〕
 債権者がパチンコ店「A店」において、Bから営業現場に任せられていたCの下で稼働していた以上、右給与は労働に対する対価としての賃金であったというべきであり、債権者に対する給与をもって役員報酬とか株式配当或いはその他の支払い(債務者が主張する営業管理に対する対価の趣旨は必ずしも明らかでない。)とは認めることができない。また直接債権者に給与が支払われていなかったにしても、それは、債権者会社とD家の特殊な関係からCやEに一旦支給され、同人らの裁量で再配分されていたにすぎなかったものであるから、本来債務者が債権者に対し負担している給与の直接支払義務を否定すべき理由にはならない。
 従って、債権者の右主張は理由がない。
 また債務者は、債権者が、債務者の株主で、以前同店舗の経営に関与していたこと、さらに債権者には、勤務時間の拘束がなかったうえ、決まった仕事もなく、他の従業員の手の回らない部分を手伝うといった程度にすぎないなど、誰の指揮監督にも服していなかったこと等に照らし、債権者は債務者の従業員ではなかったと主張するので検討するに、前記認定のとおり債権者が債務者の株式を有し、またその設立当初債務者の代表取締役であったが、それは名目的なもので、実質的な経営には関与しておらず、むしろCが実質的な経営者であって、その指示に従っていたものであり、またBが債務者の実質的な経営者になった後も、Bから営業現場を任されたCの下で稼働していたのである。そして、債権者は、Cの母で、七六歳と高齢でもあるので、他の従業員に比較して労働時間等を含め厳格な労働条件が適用されていなかったとも考えられるが、前記認定のとおり、債権者は、開店日には朝から閉店時間以降まで店舗に出て稼働していたのであるから、債権者が債務者の従業員であることを否定することはできないというべきである。