全 情 報

ID番号 05760
事件名 懲戒処分等取消・研修命令取消請求事件
いわゆる事件名 佐伯町立津田小学校事件
争点
事案概要  小学校の教員が、校長によりなされたクラス担任を解く旨の職務命令および教育事務所で研修を命じる職務命令につき、その取消と、右研修を命じる職務命令等に従わず授業を混乱させたとしてなされた教育委員会による停職三カ月の懲戒処分の効力を争った事例。
参照法条 地方公務員法29条1項
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒権の濫用
懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 業務命令拒否・違反
裁判年月日 1991年4月26日
裁判所名 最高二小
裁判形式 判決
事件番号 平成2年 (行ツ) 210 
裁判結果 棄却
出典 労働判例587号6頁/金融商事908号30頁
審級関係 控訴審/05716/広島高/平 2. 9.13/昭和61年(行コ)4号
評釈論文
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-業務命令拒否・違反〕
 市町村立小学校の教員に対しその職責を遂行させるため必要がある場合に研修を命ずる職務命令を発することは、当該小学校の校長の権限としてなし得るものと解されるところ、原審の適法に確定した事実によれば、上告人の学習指導の在り方等に問題があり、これをめぐって上告人と児童の保護者の一部との間に紛争が生じ、右紛争により上告人が担任する学級の授業が混乱したことから、被上告人佐伯町立A小学校長(以下「被上告人校長」という。)は、被上告人広島県教育委員会(以下「被上告人委員会」という。)及び佐伯教育委員会の指示を受けて、上告人に学習指導の方法等について研修させるべく本件第一次研修命令を発したというのであり、右発令の経緯、内容からすれば、上告人に対する本件第一次研修命令は適法と認められる。上告人が本件第一次研修命令に従わなかったことは地方公務員法二九条一項所定の懲戒事由に該当するとした原審の判断は、結論において是認することができる。また、原審の適法に確定した事実関係の下において、被上告人校長が上告人に対してした本件担任解除命令は適法であり、上告人がこれに従わなかったことは右懲戒事由に該当するとした原審の判断は、正当として是認することができる。所論違憲の主張は、原審の認定しない事実を前提とするものであって、失当である。
〔懲戒・懲戒解雇-懲戒権の濫用〕
 原審の適法に確定した事実関係の下において、被上告人委員会が上告人に対してした本件懲戒処分が社会観念上著しく妥当を欠き裁量権を濫用したものとは認められないとした原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。所論違憲の主張は、原審の認定しない事実を前提とするものであって、失当である。論旨は、採用することができない。