全 情 報

ID番号 05789
事件名 地位確認等請求事件
いわゆる事件名 エッソ石油事件
争点
事案概要  会社の機構改革に伴う担当職務の変更命令に従わなかったことを理由として懲戒処分(出勤停止)を受けたのち、再度右変更命令を受けそれに従わなかったことを理由として懲戒解雇された労働者がその効力を争った事例。
参照法条 労働基準法89条1項9号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 業務命令拒否・違反
裁判年月日 1991年8月29日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 昭和62年 (ワ) 12389 
裁判結果 棄却
出典 労経速報1436号3頁/労働判例595号37頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-業務命令拒否・違反〕
 前記一3認定の事実によれば、原告は被告の再三にわたる適法な業務命令を約半年間にわたって無視し、本件機構改革に伴う担当業務の引継等を拒否し、旧担当業務を継続したのであるから、著しく被告の企業秩序を乱したと認められ、同所為は本件懲戒事由に該当し、本件出勤停止処分及び本件懲戒解雇(同六〇条四号)には客観的、合理的な理由があるといわなければならない。
 この点につき、原告は、被告において覚書の通告義務、協約所定の協議義務を無視して本件機構改革を強行したのに対し、大阪支部から原告に対し、被告との協議が成立するまで本件業務命令を拒否するように指令があったため、これに従ったのであり、本件業務命令拒否は目的・手段において正当な組合活動であるから、本件懲戒事由に該当しない旨主張する。
 しかしながら、原告の行った本件業務命令拒否が同支部の指令に基づく組合活動であったとしても、前記説示のとおり、被告に、本件機構改革実施について覚書・協約違反は認め難く、本件業務命令は適法と認められること、他方、同支部の右指令は、本社、本部間の団交事項である本件機構改革それ自体の撤回を求める闘争の一環として、本部の意向に反しても継続して行われたこと、そして、原告の本件業務命令拒否を組合活動とするならば、それは勤務時間中に行ったと言わざるを得ないことが認められる。
 そうすると、原告の本件業務命令拒否は、正当な組合活動であって、本件懲戒事由に該当しないと認めることはできない。