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ID番号 06085
事件名 退職金分割請求上告事件
いわゆる事件名 財団法人厚生会事件
争点
事案概要  死亡退職金支給に関する規定が存在しない場合の法的性質につき、相続財産ではなく妻個人に支払われたものとされた事例。
参照法条 労働基準法24条
労働基準法89条1項3の2号
体系項目 就業規則(民事) / 就業規則の周知
裁判年月日 1987年3月3日
裁判所名 最高三小
裁判形式 判決
事件番号 昭和59年 (オ) 504 
裁判結果 棄却
出典 時報1232号103頁/タイムズ638号130頁/裁判集民150号305頁/金融法務1158号30頁/金融商事769号3頁/労働判例507号10頁/家裁月報39巻10号61頁
審級関係 控訴審/01128/東京高/昭59. 1.30/昭和58年(ネ)2246号
評釈論文 奥田昌道・家族法判例百選<第5版>〔別冊ジュリスト132〕166~167頁1995年1月/高橋朋子・家族法判例百選<第6版>〔別冊ジュリスト162〕128~129頁2002年5月/佐藤義彦・法学セミナー33巻1号101頁1988年1月/坂本宏志・賃金と社会保障996号16~22頁1988年10月25日/床谷文雄・民商法雑誌97巻5号729~733頁1988年2月/中田昭孝・ジュリスト889号61頁1987年7月1日/渡邉等・昭和62年度主要民事判例解説〔判例タイムズ臨時増刊677〕168~169頁1988
判決理由 〔就業規則-就業規則の周知〕
 亡Aは財団法人厚生会(以下「厚生会」という。)の理事長であったこと、Aの死亡当時、厚生会には退職金支給規程ないし死亡功労金支給規程は存在しなかったこと、厚生会は、Aの死亡後同人に対する死亡退職金として二〇〇〇万円を支給する旨の決定をしたうえAの妻である被上告人にこれを支払ったことは、原審の適法に確定した事実であるところ、右死亡退職金は、Aの相続財産として相続人の代表者としての被上告人に支給されたものではなく、相続という関係を離れてAの配偶者であった被上告人個人に対して支給されたものであるとしてAの子である上告人らの請求を棄却すべきものとした原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひっきょう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は原判決の結論に影響のない説示部分を論難するものにすぎず、採用することができない。