全 情 報

ID番号 06143
事件名 賃金仮払い仮処分申立事件
いわゆる事件名 中部共石油送事件
争点
事案概要  期間を一年とする契約について、「一年経過後双方協議により更新を行う。契約の更新を行わない場合、期間満了の二か月前に双方のいずれかから通知する」旨の規定があるときは、右通知がないときは自動的に契約が更新されるか、賃金の仮払いを求める必要性の疎明がないとされた事例。
参照法条 労働基準法2章
民法628条
体系項目 解雇(民事) / 短期労働契約の更新拒否(雇止め)
裁判年月日 1993年5月20日
裁判所名 名古屋地
裁判形式 決定
事件番号 平成4年 (ヨ) 767 
裁判結果 却下、確定
出典 タイムズ826号228頁/労経速報1514号3頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-短期労働契約の更新拒否(雇止め)〕
 1 債務者は、右条項のうち契約更新を行わない場合についての定め(本件更新拒絶条項)は、期間満了二か月前までに更新拒絶の意思表示がない場合は自動的に契約が更新される趣旨ではなく、契約当事者に準備期間を与えるための努力条項に過ぎないと主張する。
 確かに、契約の更新は雇用期間経過後に契約当事者双方の協議により行う旨の本件第二期契約第一条前段の定めと本件更新拒絶条項とは、その規定内容に矛盾が存在するとも考えられる。
 しかし、本件更新拒絶条項は、契約当事者双方に右契約期間満了後に備えた準備期間を与えることにその趣旨があるものと理解されるのであって、労基法二〇条が労働契約の解消に最小限三〇日間の解雇予告制度を定めていることを考えると、右趣旨を軽視することは許されないというべきであるから、本件第二期契約の更新拒絶には右契約期間満了二か月以上前にその旨の通知がなされなければならず、期間満了二か月前までに更新拒絶の意思表示がない場合は自動的に右契約が更新される趣旨であると解するのが相当である。
 本件第二期契約第一条前段の定めは、更新された契約の具体的内容は契約期間経過後に契約当事者双方の協議により改めて定める旨を注意的に明らかにしたものと解すべきである。