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ID番号 06226
事件名 損害賠償請求事件
いわゆる事件名 茨城倉庫事件
争点
事案概要  フォークリフトの運転など荷役業務に従事していた者の肝機能障害につき、過労に起因するとしてなされた損害賠償請求が、健康保持義務違反はないとして棄却された事例。
参照法条 民法415条
民法709条
体系項目 労働契約(民事) / 労働契約上の権利義務 / 安全配慮(保護)義務・使用者の責任
裁判年月日 1993年12月20日
裁判所名 水戸地
裁判形式 判決
事件番号 平成3年 (ワ) 193 
裁判結果 棄却
出典 労経速報1521号20頁/労働判例650号18頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労働契約-労働契約上の権利義務-安全配慮(保護)義務・使用者の責任〕
 三 原告の従事した業務内容と原告が罹患した肝機能障害との間の相当因果関係の有無について
 1 前掲の証拠と(証拠略)によれば、原告は、平成二年八月三日ころから、A会社の物流関係業務に従事したこと、原告は、同年一〇月一七日に、B病院精神科において、同年七月ころから易疲労感が出現したと訴えて診断を受け、検査の結果、軽度ないし中度の肝機能障害が認められると診断され、肝機能障害の病名により、同日から同病院に入院して安静、薬物治療を受け、症状及び肝機能改善により、同年一二月六日退院し、その後同月一一日と同三年一月一七日に通院して治療を受けたこと、原告は、昭和六二年八月にも、易疲労、腹部膨満、食欲不振を訴えて、日立市内のC医院において診断を受け、神経性胃炎と診断されて通院して治療を受けたことがあったこと、また、原告は、平成元年五月二〇日、交通事故に遭って鞭打症になり、その治療のために遅刻、早退し、あるいは就業時間中通院したこと、原告は、右事故に基づく休業補償の請求を平成元年五月二〇日から同二年一一月一五日までの間行ったことの各事実を認めることができる。
 2 右の事実関係に照らすと、原告の肝機能障害が被告の業務に従事したことによって生じたものと認めることはできない。
 そうすると、原告の肝機能障害が被告の業務に従事したことによって生じたことを前提とし、これが違法もしくは被告の健康保持義務違反であるとする原告の請求は、その余の点について判断するまでもなく、理由がないといわざるを得ない。