全 情 報

ID番号 06277
事件名 損害賠償請求事件
いわゆる事件名 東京電力事件
争点
事案概要  共産党員であることを理由に賃金について差別を受けたとの主張が認容され、同期入社同学歴の標準的な従業員の平均賃金と実際賃金との間の格差額の三割相当額および慰謝料の損害賠償の支払いが命ぜられた事例。
参照法条 日本国憲法14条
労働基準法3条
民法90条
民法709条
民法710条
体系項目 労基法の基本原則(民事) / 均等待遇 / 信条と均等待遇(レッドパージなど)
裁判年月日 1994年5月23日
裁判所名 千葉地
裁判形式 判決
事件番号 昭和51年 (ワ) 698 
裁判結果 一部認容,一部棄却(控訴)
出典 時報1507号53頁/タイムズ864号72頁/労働判例661号22頁
審級関係
評釈論文 角田邦重・労働判例百選<第6版>〔別冊ジュリスト134〕54~55頁1995年5月/山田省三・平成6年度重要判例解説〔ジュリスト臨時増刊1068〕191~193頁1995年6月/西谷敏・労働法律旬報1348号6~25頁1994年11月25日/青野覚・労働判例百選<第7版>〔別冊ジュリスト165〕62~63頁/藤野善夫・労働法律旬報1343号16~21頁1994年9月10日/野村晃・法律時報67巻2号90~93頁1995年2月
判決理由 〔労基法の基本原則-均等待遇-信条と均等待遇(レッドパージなど)〕
 以上によれば、原告らには、それぞれある程度消極的評価の理由となり得る出来事があったことを認めることができる。また、被告の指摘する被告側各証人の証言によれば、原告らには、上司から見て協調性、柔軟性、融和性等の点で水準に至らないと評価されていた面があり、これらが考課査定上の消極要素となっていたものとうかがわれる。しかし、前者はいずれも特段重大視するほどのものとはいえないし、後者も、その程度が著しいほどのものであったとは到底認め難いのであって、結局、被告の立証によっては、原告らが並外れて劣悪な能力や勤務ぶりを示し右勤務ぶり等の長期間の累積が前記のような顕著な格差発生の唯一の原因であるという見方を正当とするのは困難であるというほかない。そうすると、原告らの勤務ぶりに関する立証によっても、被告が、原告らに対し、原告らが共産党員または同党支持者であることを理由の一つとしてほかの従業員よりも賃金関係の処遇面で低い処遇を行ってきたものという前記第四節一の推認を覆すには足りないというべきである。