全 情 報

ID番号 06318
事件名 雇用関係存在確認等請求事件
いわゆる事件名 本山製作所事件
争点
事案概要  管理職に対する暴言、無断での職場離脱等を理由として解雇された従業員が右解雇を不当労働行為であるとしてその効力を争った事例。
参照法条 労働基準法89条1項3号
労働組合法7条1号
民法1条3項
体系項目 解雇(民事) / 解雇権の濫用
解雇(民事) / 解雇事由 / 違法争議行為・組合活動
裁判年月日 1990年4月24日
裁判所名 仙台地
裁判形式 判決
事件番号 昭和48年 (ワ) 562 
裁判結果 棄却
出典 労働判例630号41頁
審級関係 控訴審/06331/仙台高/平 4. 9.29/平成2年(ネ)207号
評釈論文
判決理由 〔解雇-解雇事由-違法争議行為・組合活動〕
 前記第二記載のとおり、とりわけAの懲戒解雇問題を契機とする昭和四六年八月の組合分裂以降、全金Bと被告との間で激しい対立があったが、全金Bは正当な組合活動ないし正当な争議行為とは目し得ない数々の行為を行った。原告の主張する点を中心に、これらの活動への被告の対応について検討しても、被告に全金Bの組合活動を敵視し、これを抑圧する意図があったと認めることはできないことは前示のとおりである。さらに、原告の被告会社での行状は前記第二の二の2、3、第三の二記載のとおりであり、本件処分対象行為は、いずれも到底正当な組合活動や争議行為とは認められないものである。そして、前記第三の三記載の原告のその余の行為をも併せ考慮すれば、被告が会社秩序の維持のため、やむを得ず原告を会社から排除しようとしたものと認められ、原告に対する本件解雇が全金Bの組合活動の破壊や、同組合員に対するみせしめを図ってなされたものであるとか、原告の組合活動に対する嫌悪からなされたものであるなどということはできない。
 他に、本件解雇が不当労働行為であることを認めるに足りる証拠はない。
〔解雇-解雇権の濫用〕
 前記第二、第三記載のとおり、本件解雇当時被告と全金Bとは対立の渦中にあったが、本件解雇の原因となった原告の本件処分対象行為は、いずれも到底正当な組合活動とは評価し得ないものであったばかりでなく、就業規則に違反したものであった。これに加えて、原告は本件処分対象行為以外にも日常的に規律違反行為や業務妨害行為を行っていたことに鑑みれば、企業秩序の維持と会社業務の円滑な遂行のため、被告が原告を会社から排除することを決意したのは相当であったということができる。これに対して全金Bの組合活動を圧殺するため本件解雇がなされたなどと認めることはできないことは前述のとおりである。そして、原告のかかる行為に対し、被告は原告の将来を考慮して懲戒解雇とせず、より軽い諭旨退職処分としたこと、その手続きにもなんら瑕疵がなかったことなどに照らせば、本件解雇が解雇権の濫用にあたるものということはできない。他に本件解雇権を濫用してなされたものであることを認めるに足りる証拠はない。