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ID番号 06348
事件名 損害賠償請求事件
いわゆる事件名 東邦建業事件
争点
事案概要  ダンプカーで積載作業を行っていた労働者が、建造物解体業者の従業員が運転するパワーショベルのバケットの衝突により地面に落下して被災した事故につき、右建造物解体業者に対して、損害賠償を請求した事例。
参照法条 民法415条
体系項目 労働契約(民事) / 労働契約上の権利義務 / 安全配慮(保護)義務・使用者の責任
裁判年月日 1993年11月19日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 平成4年 (ワ) 15094 
裁判結果 一部認容,一部棄却
出典 交通民集26巻6号1440頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労働契約-労働契約上の権利義務-安全配慮(保護)義務・使用者の責任〕
前記当事者間に争いのない事実、証拠(甲一五号証、原告本人尋問の結果)及び弁論の全趣旨によれば、訴外Aが被告の下請けとして、本件解体作業をするについては、被告がパワーショベル及びダンプカーを提供していること、解体作業の日程等については被告から事実上の指示、監督があつたとみるのが合理的であること、訴外A及び原告を含むその従業員らとともに被告の従業員五名がパワーショベルの運転及びダンプカーの運転を含む作業に当たつていたこと、訴外A及びその従業員の賃金は日当で支払われたこと等の各事実が認められ、右各事実によれば、被告と訴外Aの従業員との間には、直接の雇用契約関係はないが、被告と訴外Aとの間の請負契約及び訴外Aとその従業員との間の雇用契約を媒介として間接的に成立した法律関係に基づいて、被告は、訴外Aの従業員である原告が本件家屋の解体作業について労務を提供するに際し、原告の生命、身体の健康を害することがないように配慮すべき信義則上の安全配慮義務を負つていたものである。〔中略〕
 被告は、被告の従業員である訴外Bにパワーショベルの運転操作をさせるについては、右操作によつて他の作業員に対し危害を及ぼすことのないよう指導、監督をすべき義務を負つていたのにもかかわらず、訴外Bに対し、パワーショベルの安全な運転技術の修得のための指導、監督を怠り、また、原告に対しダンプカーの上での作業の安全確保のための指導、監督をも怠り、本件事故を発生させたものであるから、被告に安全配慮義務違反が認められる。よつて、被告は民法四一五条による債務不履行責任を負う。