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ID番号 06440
事件名 懲戒処分取消請求控訴事件
いわゆる事件名 農林省神奈川食糧事務所事件
争点
事案概要  国家公務員法で禁止する争議行為のためのオルグ活動をしたことを理由とする停職処分につき、裁量権の範囲は逸脱していないとされた事例。
参照法条 日本国憲法28条
国家公務員法82条
国家公務員法98条2項
労働基準法89条1項9号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動
裁判年月日 1995年2月28日
裁判所名 東京高
裁判形式 判決
事件番号 平成1年 (行コ) 118 
裁判結果 棄却(上告)
出典 労働民例集46巻1号638頁/タイムズ877号195頁/訟務月報42巻2号256頁/労働判例674号10頁
審級関係 一審/04938/東京地/平 1.10.31/昭和59年(行ウ)90号
評釈論文
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-違法争議行為・組合活動〕
 以上にみた諸般の事情その他前示の事情を彼此勘案すれば、本件ストライキが暴力を伴わず業務の停滞を防ぐため保安要員を配置するなど弊害の防止に努めた事実があるとしても、本件ストライキは、国民全体の共同の事務である農林水産省の行政事務の正常な運営に大きな支障を与え、国民全体の共同利益を損なう虞れがあったものであるところ、控訴人らは、全農林の副中央執行委員長或は中央執行委員として、本件ストライキ立案の当初からこれに参画し、中央執行委員会の構成員として闘争方針案の決定等に関与したばかりでなく、右闘争方針を実施するためのオルグ活動に参加し、全国各地において二日ないし五日間にわたり本件ストライキの実施を指導するオルグとしての活動を行い、本件ストライキの実施に積極的に関与し指導的な役割を果したものであって、これらの行為は公務員法九八条二項の禁止する争議行為を共謀し、そそのかし、若しくはあおったものというべく、同法八二条一号に該当するとともに、その責任は軽いということはできないといわざるを得ない。そのうえ、控訴人らにはそれぞれ停職、減給等の軽くない懲戒処分を受けた経歴があり、また、本件各懲戒処分が農林水産省における他の争議行為に関する懲戒処分と比較して特に重きに失するということもできないなどからしても、控訴人らが受けた本件懲戒処分が社会通念上著しく妥当性を欠き、裁量権者に任された裁量権の範囲を逸脱した違法のものであるということはできない。