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ID番号 06483
事件名 不当労働行為救済命令取消請求控訴事件
いわゆる事件名 富里商事事件(救済命令)事件
争点
事案概要  組合結成後、労使間で紛争が発生するなかで、組合の闘争委員である者が上司等に暴行を働いたとして会社により解雇されたことにつき、組合が右解雇は不当労働行為であるとして労働委員会に救済を求めていた事件で、中労委が右解雇を不当労働行為であるとする救済命令を出したが、会社が右命令の取消を求めた事件の控訴審。
参照法条 労働基準法89条1項3号
体系項目 解雇(民事) / 解雇事由 / 暴力・暴行・暴言
裁判年月日 1994年2月17日
裁判所名 東京高
裁判形式 判決
事件番号 平成3年 (行コ) 74 
裁判結果 棄却
出典 労働判例662号78頁
審級関係 一審/05538/東京地/平 3. 5.23/昭和63年(行ウ)119号
評釈論文
判決理由 〔解雇-解雇事由-暴力・暴行・暴言〕
昭和五五年当時のAホテルの宿泊客には、B航空のクルーの他、乗換旅客等の一般客も相当数含まれていた。また、Aホテルには、当時、宴会場、会議場があり、同ホテルでは、クルー、乗換旅客以外の一般客をも宿泊又は飲食利用者として迎えていた。クルーが本国の労働組合に加入しているか否かにかかわらず、クルーがホテルにおいて客として宿泊する以上、それが一般客と異なるところがなく、さらに、当時、前記のとおり、一般客も同ホテルを利用していたのであるから、補助参加人Cを含む補助参加人組合の組合員らのホテル内占拠や暴力行為が直ちにホテル業務への阻害となるものであり、実際に、五・五事件の際、補助参加人Cを含む組合員によってされたホテル内占拠や暴力行為のため、被控訴人は、翌日の宿泊予約客一〇〇名以上のホテル受入れをキャンセルせざるをえない事態となった。以上の事実が認められ、右認定に反する証拠はない。右認定のとおり、五・五事件、五・六事件、五・二一事件の際ホテルの業務が著しく阻害されたことが認められ、これらは、主として、補助参加人Cを含む補助参加人組合の組合員らによる職場滞留、■開総務部長及びD総支配人らに対する暴行等の集団行動によって生じたものと考えるのが相当である。しかしながら、そのことを前提としても、前記認定の補助参加人Cが個人的にした、上司の顔面への唾かけ行為を含む数次に及ぶ暴行の態様・程度に鑑みれば、Cの各行為は、それ自体をとってみても、ホテル営業を中心とする被控訴人の業務を甚だしく阻害し、その職場の規律に著しく反し、その秩序を乱すものであるといわなければならない。