全 情 報

ID番号 06615
事件名 公務外認定処分取消請求上告事件
いわゆる事件名 地公災東京都支部長事件
争点
事案概要  高校体育教諭の勤務中の心筋梗塞による死亡につき、直ちに安静を保つことが困難で、引き続き公務に従事せざるを得なかったのであり、公務に内在する危険が現実化したものであるとして、相当因果関係があるとし、公務災害にあたるとした原判決を維持した事例。
参照法条 地方公務員災害補償法31条
地方公務員災害補償法42条
地方公務員災害補償法45条
体系項目 労災補償・労災保険 / 業務上・外認定 / 脳・心疾患等
労災補償・労災保険 / 審査請求・行政訴訟 / 国等による支給処分の取消等
裁判年月日 1996年1月23日
裁判所名 最高三小
裁判形式 判決
事件番号 平成6年 (行ツ) 24 
裁判結果 棄却
出典 時報1557号58頁/タイムズ901号100頁/裁判所時報1163号5頁/労働判例687号16頁/判例地方自治153号17頁
審級関係 控訴審/東京高/平 5. 9.30/平成3年(行コ)47号
評釈論文 一之瀬高博・法律時報69巻7号99~102頁1997年6月/小畑史子・ジュリスト1151号134~136頁1999年3月1日/松村弓彦・NBL625号69~71頁1997年9月15日/島岡大雄・平成8年度主要民事判例解説〔判例タイムズ臨時増刊945〕394~397頁1997年9月/良永彌太郎・労働判例百選<第7版>〔別冊ジュリスト165〕138~139頁
判決理由 〔労災補償・労災保険-業務上・外認定-脳・心疾患等〕
〔労災補償・労災保険-審査請求・行政訴訟-国等による支給処分の取消等〕
 右事実関係によれば、Aは、昭和五五年四月一六日午前九時ころ、勤務先において、労作型の不安定狭心症を発症し、救急車で病院に運ばれたものであるところ、Aはその際、入院のうえ適切な治療と安静を必要とし、不用意な運動負荷をかけると心筋こうそくに進行する危険の高い状況にあったにもかかわらず、その日は病院から勤務先に戻り公務に従事せざるを得ず、更に翌一七日も、午前中に病院で検査を受けた後に公務に従事せざるを得なかったというのである。右事実関係の下においては、Aが四月一七日の午後四時三五分に心筋こうそくにより死亡するに至ったのは、労作型の不安定狭心症の発作を起こしたにもかかわらず、直ちに安静を保つことが困難で、引き続き公務に従事せざるを得なかったという、公務に内在する危険が現実化したことによるものとみるのが相当である。そうすると、Aの死亡原因となった右心筋こうそくの発症と公務との間には相当因果関係があり、Aは公務上死亡したものというべきであるとした原審の判断は、正当として是認することができる。