全 情 報

ID番号 06725
事件名 土地賃料改定等請求事件
いわゆる事件名 三洋紙工事件
争点
事案概要  労働者が入社後、自宅購入資金として給料天引きにより積み立てていた社内預金の払い戻しを請求したのに対し、使用者が消滅時効を援用して払い戻しの効力を争った事例。
参照法条 民法1条
民法145条
民法166条
労働基準法18条
体系項目 労働契約(民事) / 強制貯金・社内預金
裁判年月日 1995年4月21日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 平成5年 (ワ) 4008 
裁判結果 棄却
出典 タイムズ907号187頁
審級関係 控訴審/06734/東京高/平 7. 9.27/平成7年(ネ)2136号
評釈論文
判決理由 〔労働契約-強制貯金・社内預金〕
 原告は、昭和四二年被告会社に就職したが、当時の被告の代表取締役は、原告の妻の父親Aであったこと、昭和四五年ころから、原告らB一族の従業員の自宅購入資金にあてる目的で毎月給料の一部を積み立てていたこと、原告の積立金は、別紙のとおりであり、積立金は被告が管理し、被告においてこれを使用することも許容されていたこと、昭和五四年六月に原告が自宅用の建物を購入する際、被告から原告に五三〇万円が返済されたこと、が認められる。
 二 しかしながら、前記のように、右の積立ての目的は、原告らの自宅購入のためではあるが、従業員である間は、自宅取得資金とするためにのみ返還を求めることができ、自宅取得資金以外は返還を求めることができない旨の合意の存在を認めるに足りる証拠はない。のみならず、被告は、昭和五四年四月からは、原告の給料から積立てのための天引きをしていないのであるから、その後の居住用不動産の取得計画も事実上頓挫したものということができ、原告はいつでも積立金の返還を求めることができたものというべきである。〔中略〕
 三 右の積立ては、被告がその営業のためにした行為とはいえないから、商行為によって生じた債権とはいえない。
 被告が、平成七年三月一四日、原告に対し、右消費貸借あるいは消費寄託契約に基づく原告の債権につき一〇年の消滅時効を援用する意思表示をしたことは、当裁判所に顕著であり、原告の債権は、時効により消滅したものというべきである。