全 情 報

ID番号 06742
事件名 解雇無効等確認等請求事件
いわゆる事件名 西日本旅客鉄道事件
争点
事案概要  「手取り釣銭方式」による運賃収受行為を理由とする懲戒解雇につき、横領の意図をもって、手取りした運賃を私用に供しようとしたものとして、右懲戒解雇を有効とした事例。
参照法条 労働基準法89条1項9号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 職務上の不正行為
裁判年月日 1995年11月10日
裁判所名 佐賀地
裁判形式 判決
事件番号 平成5年 (ワ) 25 
裁判結果 棄却
出典 労働判例692号49頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-職務上の不正行為〕
 以上検討したところによれば、原告は、被告が定めた手順どおりに処理することが困難な事情や運賃を手取りしなければならない事情も特に認められない状況下で、しかも、被告が運賃の手取り釣銭方式を厳禁し、これが発覚した場合には懲戒解雇も含めた厳しい処分で対処していたことを十分了知しながら本件手取等行為をなしていること、運賃である現金三〇〇〇円を手取りした後終点である佐賀駅バスセンターに到着し巡視員に摘発されるまでの間に、右運賃を運賃箱に入れることを妨げる事情は特に認められず、原告が、右いずれの時点かで、右運賃を運賃箱に投入することも可能であったにもかかわらず、原告は右の間、右運賃を運賃箱に投入する素振りをみせていないこと、本件手取等行為後の被告の本件調査の際の原告の態度、さらに、前記原告の弁解の不自然さ等を併せ考慮すると、原告の本件手取等行為は、被告の手取り釣銭方式禁止に故意に違反し、横領の意図のもとになされたものであり、手取りした運賃を私用に供しまたは供そうとしたもので、就業規則六〇条三号及び一一号に該当すると認めるのが相当である。