全 情 報

ID番号 06862
事件名 地位保全等仮処分申立事件
いわゆる事件名 桜エンドレス事件
争点
事案概要  本件管理部長は、管理職として一般の従業員と比べて高度な職務専念義務・誠実義務を負っており、会社の顧問である税理士との顧問契約を、その権限を逸脱して解除などしたことは、会社の信用を毀損するおそれのある行為であり、解雇事由に該当するとした事例。
参照法条 労働基準法2章
体系項目 解雇(民事) / 解雇事由 / 名誉・信用失墜
裁判年月日 1996年9月30日
裁判所名 東京地八王子支
裁判形式 決定
事件番号 平成8年 (ヨ) 294 
裁判結果 却下
出典 労経速報1622号28頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-解雇事由-名誉・信用失墜〕
 3 解雇の合理的な理由の有無
 被傭者は、その職制上の地位、職務権限、職務内容、給与額等に応じてそれぞれ異なる内容の職務専念義務・誠実義務を雇用者に対して負うのであって、特定の行為が職務専念義務・誠実義務等に反するとして解雇事由に当たるか否かも、その地位等に鑑み個別に判断すべきであるところ、疎明資料(書証略)によると、債権者は、債務者の管理部長として、総務、人事を統括する重大な職責を負う地位にある上、入社当初から右職務の担当者として年収一二〇〇万円という従業員の中では最高の給与を支給されていたことがいちおう認められるのであるから、債権者は、一般の従業員と比べて高度な職務専念義務・誠実義務を負うものというべきである。
 しかるに、債権者は、前記1、2で認定したとおり、債務者の内部規定の定める手続に違反し、その権限を逸脱して本件解除通知を行って債務者の国税調査への対応を困難にさせた上、主要取引銀行との良好な関係を危うくするなど、対外的な債務者の信用を毀損するおそれのある行為をした。債権者の右行為は就業規則二六条二号に反するものであって、通常解雇理由となるというべきである。