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ID番号 06943
事件名 停職処分取消請求事件
いわゆる事件名 明石郵便局事件
争点
事案概要  郵便局員が、自家用自動車の構内駐車許可を受けずに構内駐車したことに端を発した事件で、それを咎めた課長の胸ぐらをつかみ脅迫的な言辞を弄したこと、事情聴取を受けた際に不穏当な言辞を弄したこと等を理由に一か月間の停職処分を受け、その取消しを求めて争った事例。
参照法条 国家公務員法98条1項
国家公務員法99条
国家公務員法101条1項
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒権の濫用
懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 暴力・暴行・暴言
懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 職務懈怠・欠勤
裁判年月日 1997年4月22日
裁判所名 神戸地
裁判形式 判決
事件番号 平成6年 (行ウ) 1 
裁判結果 認容(確定)
出典 労働判例723号79頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒権の濫用〕
〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-暴力・暴行・暴言〕
〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-職務懈怠・欠勤〕
 以上の検討によれば、本件処分の理由とされた事実(前記第二、一8(一)ないし(四))のうち、認められるものは、(一) 一二月三日午前八時二〇分ころ、明石局南側駐車場において、A総務課長に対し、脅迫的言辞を弄した、(二)同日同時刻ころ、同局階段付近において、A総務課長に対し、脅迫的言辞を弄した、(三) 前記第二、一8(三)記載のとおり、不穏当な言辞を弄した、(四)同(四)記載のとおり、暴言を浴びせた、という四回の脅迫的ないし不穏当な言辞(ただし、(一)と(二)の言辞は実質上引き続いた同一機会に行われたものといえる。)の事実である。
 そして、明石局の平成三年以降の処分状況では、暴言ないし暴言及び遅刻の事実に対する処分は訓告ないし戒告にとどまっていたこと(〈証拠・人証略〉)、郵政省の定めた懲戒処分基準では、暴言よりも強い非難に値する暴行に対する処分は、原則として減給にとどまるものとし、その情軽いものは戒告にすることができるとしていること(〈証拠略〉)などの事情に照らすと、原告が、〔1〕 平成元年一二月二八日に管理者の指導に暴言を浴びせたとの事由により、平成二年一月一二日付けで訓告処分を、〔2〕 平成元年七月五日から翌平成二年二月一〇日までの間に多数回にわたる被告側管理者らの注意指導に従わずに無許可駐車を繰り返したとして平成二年三月一四日付けで訓告処分を、〔3〕 同年六月一六日、無届けで四〇分間遅刻したとして同年七月一一日付けで口頭注意をそれぞれ受けていること(〈証拠略〉)その他本件に現れた処分の加重事由となり得る一切の情状事実を考慮しても、右被処分事実についての懲戒処分として停職を選択することは、社会通念上著しく妥当を欠いたものであって、懲戒権者の裁量権の範囲を超えるものとして、これを認めることができない。