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ID番号 07209
事件名 損害賠償請求事件
いわゆる事件名 神奈川県立外語短期大学(セクシュアルハラスメント)事件
争点
事案概要  県立外語短期大学の女性教員が県教育長宛てに出した書簡のなかで指摘した、男性教員のセクシュアルハラスメントの事実について、セクハラを指摘された男性教員がその事実は事実無根であり、社会的評価を低下させ、名誉を毀損するものであるとして、損害賠償を請求したケースで、名誉を毀損するまでとはいえないとして請求が棄却された事例。
参照法条 男女雇用機会均等法21条
民法709条
民法710条
体系項目 労基法の基本原則(民事) / 均等待遇 / セクシャル・ハラスメント、アカデミック・ハラスメント
裁判年月日 1998年3月20日
裁判所名 横浜地川崎支
裁判形式 判決
事件番号 平成6年 (ワ) 707 
裁判結果 棄却(控訴)
出典 労働判例770号135頁
審級関係 控訴審/07342/東京高/平11. 6. 8/平成10年(ネ)1781号
評釈論文
判決理由 〔労基法の基本原則-均等待遇-セクシャル・ハラスメント〕
 右セクハラ事実の有無につき、被告本人はこれに沿う旨の供述をし、他方原告X本人はこれを真っ向から否定している。そして、原告Xは、原告代理人名で大学の元及び現女性職員宛に被告本人調書を添付して右セクハラ事実があったか否かについてのアンケートを送付し、右事実がなかった旨の回答書を書証として提出している(〈証拠略〉)。しかしながら、男性が職場内の懇親会等飲酒の場で女性に対し、性的な言葉をかけたり、身体に触ろうとする等のいわゆるセクハラ行為はまま見られるところであり、女性において右職場関係内のセクハラ行為の場合、特に相手が上司である場合は被害者であっても泣き寝入りすることも珍しくなく、単に目撃しただけであれば関わり合いになるのも避けようとする思いは当然であって、その意味からすれば、右(証拠略)は総じてにわかに採用できない。そして、右観点からすれば、(証拠略)の記載の方が採用できる。したがって、原告Xに右セクハラ事実が真にあったかはともかくそのように疑わせる行為はあったと推認できる。
 そうだとすると、前示本件書簡の性質に鑑み、教育庁において、ある程度の疑いを持ち、その事実を確認するため、原告Xから事情聴取したとしても、原告Xの名誉を毀損するものとは言えないのであり、結局、本件書簡が原告Xの名誉を毀損すると認めるには足りないというほかない。