全 情 報

ID番号 07400
事件名 退職金請求事件
いわゆる事件名 旭化成工業事件
争点
事案概要  理由なく職場で個人攻撃をするなどして出勤停止処分を受けた労働者が、右処分に関する処分状は偽物であるなどと強弁して出勤を強行するなどの行為を行い勤務態度不良で諭旨解雇されたのに対して、右解雇は不当解雇であるが、定年退職前に退職したもので早期優遇退職金が支給されるべきであるとして、右の退職金を請求したケースで、諭旨解雇については退職金が支給されないことがあり、本件はそれに当たるとして請求が棄却された事例。
参照法条 労働基準法2章
労働基準法89条1項3号
労働基準法89条1項3号の2
労働基準法11条
体系項目 解雇(民事) / 解雇事由 / 勤務成績不良・勤務態度
賃金(民事) / 退職金 / 懲戒等の際の支給制限
裁判年月日 1999年11月15日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 平成11年 (ワ) 11776 
裁判結果 棄却
出典 労経速報1724号19頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-解雇事由-勤務成績不良・勤務態度〕
 原告は、本件出勤停止処分を受けたにもかかわらず、前記(一)(4)ないし(6)認定のとおり、本件出勤停止処分の懲戒処分状自体が偽物で処分は無効であると強弁して出勤を強行しようとするなどし、出勤停止期間経過後も副所長が自分の直接の上司であることを認めず、所長及び副所長の業務指示に全く従わない態度をとり続けた上、上司の作成文書が偽文書であるとする文書の発信を継続したものであるから、原告の右一連の行為は、被告の就業規則九九条三号、同条一六号、同条二九号に該当するものと認められ、被告が原告を諭旨解雇処分としたことは相当であると認められる。〔中略〕
〔賃金-退職金-懲戒等の際の支給制限〕
 被告の退職金規程上、懲戒解雇又は諭旨解雇された社員には退職金は支給しないとされており、ただし、諭旨解雇の場合は、情状により一定の範囲内で退職金を支給することができると定められているところ、被告は、原告の年齢及び勤続年数を考慮し、情状により、原告が退職・清算手続に協力し、同月一五日までに(その後同月二四日までに延長)手続を完了した場合には、退職金規程に基づき退職金を支給するとしていたものであり、これに対し原告が退職・清算手続を行わないまま同月二四日を徒過したために、原告に対する退職金の不支給が確定した事実関係に照らせば、本件において被告がした諭旨解雇処分に伴う退職金支給条件に関する決定も相当で有効なものというべきである。