全 情 報

ID番号 07450
事件名 損害賠償請求事件、解雇無効確認等請求事件
いわゆる事件名 大昌貿易行事件
争点
事案概要  輸出入貿易等を目的とする株式会社Xが、従業員Y1が、従業員Y2の協力を得て、輸入先からコミッションを受領したことにより、コミッション相当額を上乗せした代金を支払わされることとなって損害を被ったことから、両名を就業規則の規定(業務に関し私利を図ったもの等を懲戒解雇する旨の規定)に基づき懲戒解雇し、更に損害賠償を請求した(本訴)のに対し、Y1らが懲戒解雇の無効と賃金の支払を請求した(反訴)ケースで、Y1らは雇用契約に基づき誠実に業務を遂行するという従業員としての義務を負っているところ、Y1らの行為は右義務に違背するものであり、就業規則に該当する事由があるものといえることから、本件懲戒解雇は適法であるとしてY1らの反訴請求はされたが、Xの損害賠償請求が一部認容された事例。
参照法条 労働基準法89条1項9号
労働基準法20条1項但書
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 職務上の不正行為
解雇(民事) / 解雇予告と除外認定 / 除外認定と解雇の効力
裁判年月日 1999年9月30日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 平成10年 (ワ) 9489 
平成10年 (ワ) 15743 
裁判結果 一部認容、一部棄却(9489号)、棄却(15743号)
出典 労経速報1726号20頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-職務上の不正行為〕
 以上の認定事実によれば、被告Y1は、Aから原告の負担において四万八四九五・五五米ドルの個人的なコミッションを受領し、原告をして右同額の損害を被らせたものであることが認められるところ、前記事実(特に、(5)ないし(7)の事実)に証拠(略)を合わせると、被告Y2も、被告Y1と互いに意思を通じて、被告Y1の右行為に協力したものと推認することができる。そして、被告らは、いずれも、原告との雇用契約に基づき、原告の不利益にならないよう、誠実に業務を遂行すべき従業員としての義務を負っていたものというべきであるから、被告らの前記各行為は、原告の従業員としての右義務に著しく違背するものであることが明らかである。
〔解雇-解雇予告と除外認定-除外認定と解雇の効力〕
 原告が本件各懲戒解雇の事由につき所轄労働基準監督署長の認定を受けていないことは、その効力に影響を与えるものでないことは明らかである。