全 情 報

ID番号 07477
事件名 雇用契約上の地位確認請求上告事件
いわゆる事件名 JR東日本(秋田保線区等)事件
争点
事案概要  旧国鉄に勤務し、国労組合員であったXら一四名が、旧国鉄の分割・民営化に伴い、業務を引き継いだ会社Yの設立委員が、改革法等に基づいて、引継ぎに際して、XらをYに採用することを決定し、その旨をXに通知するとともに、旧国鉄から昭和六三年三月付けで現職場への勤務を命じられ(本件配転命令)、その後設立委員からも引継ぎ日である同年四月一日より、右配転命令と同じ職場、職名への配属を命じられ(本件配属通知)たことにより、旧国鉄を退職し、右通知に従って勤務していたが、本件配転命令及び配属通知は、不当労働行為であり、また人事権の濫用であり無効であるとして、Yにおいて、本件配転命令及び配属通知による職場で勤務すべき義務がなく、旧国鉄勤務当時の職場(原職場)に勤務すべき雇用契約上の地位の確認を請求したケースの上告審で、一審の結論と同様に、改革法の規定の検討をしたうえで、XY間の労働契約は、本件配属通知による内容で創設されたものであり、労働契約上、Xらがいう原職場が、労働条件としての勤務地に組み入れられる余地はなかったことを意味するものであり、労働契約上の権利として、XらがYに対し、原職場に勤務する権利があるとはいえないこと、本件配属通知は不当労働行為を問題とする余地がないこと、また国鉄とYとの実質的同一性に基づく当然承継も認められず、新会社設立と国鉄事業団への移行について、法人格濫用による否認の法理が適用されるべき理由もなく、営業譲渡に基づく労働契約関係の承継も認められないことから、Xの国鉄労組による不当労働行為である本件配転命令についての救済をYに対しても求めるXの主張は採用できないとして、Xの上告が棄却され原審が支持された事例。
参照法条 日本国有鉄道改革法23条
体系項目 労働契約(民事) / 成立
裁判年月日 1999年12月17日
裁判所名 最高二小
裁判形式 判決
事件番号 平成9年 (オ) 1986 
裁判結果 棄却(確定)
出典 労働判例777号17頁
審級関係 控訴審/07018/仙台高秋田支/平 9. 7.30/平成5年(ネ)40号
評釈論文
判決理由 〔労働契約-成立〕
 原審の適法に確定した事実関係の下においては、上告人らが、労働契約上、第一審判決添付別紙(一)発令一覧表の現職場欄記載の各職場に勤務する義務がなく、同表の原職場欄記載の各職場に勤務する地位を有する旨の主張はすべて理由がないとした原審の判断は、結論において是認することができる。論旨は採用することができない。