全 情 報

ID番号 07511
事件名 解雇無効確認等請求上告事件
いわゆる事件名 時事通信社(年休・懲戒解雇)事件
争点
事案概要  通信社Yの社会部記者であるXが、相方の記者Aと年休の時季及び期間につき調整することなしに、平成四年の夏期に一か月の年次有給休暇の時季指定をしたが、右休暇の後半に属する勤務日については、Aがその時期に取材のため忙しいことから、Xの職務代替をさせると業務に支障を来すとの理由で時季変更権を行使されたため、労働組合との団体交渉を提案したが、その指定日に組合員が揃わないとして拒否されて団体交渉が開かれなかったため、就業命令を無視して欠勤したことから、これは以前の譴責処分に続く二度目の業務命令違反であり(昭和五五年にも業務命令に反して一か月の休暇を取得し、譴責処分を受けていた)、前回の休暇に関する最高裁判決(X敗訴)の直後であること等を考慮すれば、就業規則所定の懲戒解雇事由の再三の懲戒にもかかわらず改心がないとき等に該当し、また最近の勤務懈怠等が別の懲戒解雇事由にも該当するとして、懲戒解雇されたことから、本件解雇は、懲戒規程の適用の誤り、適正手続違反、不当労働行為である等から無効であるとして、労働契約上の地位確認及び賃金支払を請求したケースの上告審で、一審の結論と同様に、Yの本件時季変更権の行使は労働基準法三九条の趣旨に反する不合理なものであるとはいえず、同条四項のただし書所定の要件を充足し適法であるとし、Xは時季変更権行使された時期に就業すべき義務を負っているにもかかわらず、業務命令に反して欠勤したことは、懲戒解雇事由に該当(上長の指示命令の違反行為のなかでも特に悪質でYに与えた損害も大なるものがある)し、また手続上も重大な瑕疵はなく、本件業務命令違反はYの労務管理及び人事政策の根幹を揺るがす重大なものであるから本件懲戒解雇は重きにすぎることはないとして、本件懲戒解雇は合理的な理由があり、社会通念上相当なものとして是認することができるとした原審(なお、勤務懈怠の事実は認められないとしている)に対するXの上告受理申立てが認められず、棄却された事例。
参照法条 労働基準法39条3項
体系項目 年休(民事) / 時季指定権 / 指定の時期
年休(民事) / 時季変更権
裁判年月日 2000年2月18日
裁判所名 最高二小
裁判形式 決定
事件番号 平成11年 (受) 1279 
平成11年 (オ) 1534 
裁判結果 棄却、不受理(確定)
出典 労働判例776号6頁
審級関係 控訴審/07365/東京高/平11. 7.19/平成10年(ネ)2499号
評釈論文
判決理由 〔年休-時季指定権-指定の時期〕
〔年休-時季変更権〕
 民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは、民訴法三一二条一項又は二項所定の場合に限られるところ、本件上告理由は、違憲をいうが、その実質は単なる法令違反を主張するものであって、明らかに右各項に規定する事由に該当しない。