全 情 報

ID番号 07598
事件名 地位保全等仮処分命令申立事件
いわゆる事件名 サンテクノス事件
争点
事案概要  期間を一年とする有期雇用契約社員が、面接実施と労働契約書作成という手続に従って、二度にわたり契約更新され、更新の面接時にも一年間の仕事の内容によって更新を決定する旨が告げられていたところ、二度目の契約期間満了の約三か月前に、これ以後は契約を更新しない旨の告知がなされ、右期間満了より雇用契約が終了したことから、本件雇止めは解雇権の濫用に当たり無効であるとして、雇用契約上の地位にあることの確認及び賃金の支払を求めて仮処分を申し立てたケースで、本件雇用契約は改めて契約更新をしない限り当然に契約は終了するとの合意がなされたものであり、解雇法理は当然に適用できず、更に雇用契約の継続を期待する合理的理由もないことから解雇法理を類推適用することもできないとして申立てが棄却された事例。
参照法条 労働基準法14条
労働基準法2章
体系項目 解雇(民事) / 短期労働契約の更新拒否(雇止め)
裁判年月日 2000年8月30日
裁判所名 大阪地
裁判形式 決定
事件番号 平成12年 (ヨ) 10041 
裁判結果 却下
出典 労経速報1748号15頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-短期労働契約の更新拒否(雇止め)〕
 右事実認定に基づいて判断するに、債務者が主張する債権者のミスが平成一〇年三月以前にもあったことについては、これを認めるに足る疎明はなされていないが、債務者が債権者の入社当初には作成しなかった契約書を作成したり、嘱託就業規則を制定したのは、債権者が他の従業員とは労働条件において異なることを明らかにするためであったと認められる。そして、平成一一年三月三〇日には、債務者側から債権者に対し、債権者の仕事上の不備を伝えた上で、一年間様子をみて債権者の仕事の内容によって契約を更新するか否かを決める旨を告げた上で契約更新がなされたのであるから、これは、平成一二年三月三一日の契約期間の満了をもって、改めて契約更新をしない限り、当然に契約は終了するとの合意がなされたものと認められるのが相当である。
 そうすると、債務者が債権者との間で締結した雇用契約は、期間の定めのある契約であるというべきであり、その雇用契約の終了に当たって、当然に解雇に関する法理が適用されるということはできない。