全 情 報

ID番号 07656
事件名 業務災害に関する保険給付不支給処分取消請求控訴事件
いわゆる事件名 大阪南労基署長(オウム通勤災害)事件
争点
事案概要  オウム真理教の信者らにより危険な人物と目されて計画的に通勤途上で殺害されたAの両親Xが、大阪南労基署長Yに対し、Aの死亡は通勤災害に該当するとして労災保険法に基づく遺族給付・葬祭給付の支給を申請したが、不支給処分とされたため、右処分の取消しを請求したケースの控訴審で、本件犯行がAの通勤途上に行われたのは、単なる機会として選択されたに過ぎず、通勤途上が犯行場所となる必然性はなく、本件災害を通勤の危険性が現実化したものとは認め難く、これが通勤によって生じたものということはできないとしていた一審の判断が相当として、Xの控訴が棄却された事例。
参照法条 労働者災害補償保険法7条1項2号
労働者災害補償保険法7条2項
体系項目 労災補償・労災保険 / 通勤災害
裁判年月日 2000年6月28日
裁判所名 大阪高
裁判形式 判決
事件番号 平成11年 (行コ) 85 
裁判結果 棄却(上告受理申立)
出典 労働判例798号7頁
審級関係 上告審/07698/最高二小/平12.12.22/平成12年(行ヒ)306号
評釈論文
判決理由 〔労災補償・労災保険-通勤災害〕
 当裁判所も、控訴人らの請求は理由がなく棄却すべきものと判断する。その理由は、次のとおり訂正するほかは、原判決の「事実及び理由」中の「第三 争点に対する当裁判所の判断」(原判決32頁9行目から同40頁9行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。
 原判決34頁12行目の「原告らは」から同35頁5行目末尾までを「控訴人らは、通勤経路、場所、時刻等の通勤に関する諸要素が、当該犯行の可能性を高めて、その実行を容易にするなどの犯行の誘因となった場合には、通勤が災害発生の共働原因といえ、当該災害は通勤に内在する危険の現実化ということができる旨主張するが、右解釈は、労災保険法が、通勤災害を労働者災害補償保険の対象とした趣旨からして広きに過ぎ、採用することができない。」と改める。