全 情 報

ID番号 07664
事件名 地位保全等仮処分命令申立事件
いわゆる事件名 全国社会保険協会連合会・仮処分命令申立事件
争点
事案概要  病院等を経営する社団法人全国社会保険協会連合会Yにパートタイム看護婦(実働六時間)として雇用期間を一年と定めて雇用されたXが、期間満了による契約終了に異議を唱えたため、加入していた組合とYの経営する病院との交渉後、改めて雇用期間六ヶ月とする労働契約を二回更新したが、期間満了一カ月前頃に契約更新しない旨の予告がなされ雇止めされたところ、Yの病院では多数のパートタイム看護婦は雇用期間六ヶ月又は二カ月とされながらも期間満了により雇止めされた者がいなかったこと等から、労働契約上の権利を有する地位にあることを仮に定めること及び賃金の仮払を申立てたケースで、Xが期間満了後の雇用継続を期待することに合理性があり、雇止めには合理的な理由が必要であるが、本件雇止めは合理的な理由があるとは言い難く、信義則上許されないというべきであるとして、請求が認容された事例。
参照法条 労働基準法14条
労働基準法2章
体系項目 解雇(民事) / 短期労働契約の更新拒否(雇止め)
裁判年月日 2000年9月11日
裁判所名 京都地
裁判形式 決定
事件番号 平成12年 (ヨ) 395 
裁判結果 一部認容、一部却下
出典 労経速報1788号14頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-短期労働契約の更新拒否(雇止め)〕
 前記争いのない事実と右(一)で認定した事実をもとに判断するに、債権者は、債務者との間で、期間の定めのある労働契約を締結したのであるが、期間満了後の雇用継続に関する債務者側の採用面接時の説明、債権者の職務内容の正規職員看護婦との異同、契約更新に至った経緯、債務者側の更新時の説明、他のパートタイム看護婦に対する雇止めの実例の有無、債務者病院の外来の本件雇止め後の状況等の諸事情を勘案すると、債権者が期間満了後の雇用継続を期待することに合理性があるということができ、右期待は法的保護に値するものであるから、債権者に対する雇止めには合理的な理由が必要であるといわなければならないが、本件雇止めは、合理的な理由があるとはいい難く、信義則上許されないものというべきである。