全 情 報

ID番号 07946
事件名 地位確認等請求控訴事件
いわゆる事件名 札幌西郵便局事件
争点
事案概要  札幌西郵便局内で面接を受け、非常職員として採用され、配属された第一集配課で外務業務に従事していたXが、その約一年後に、同局第一集配課からの辞職願への署名・押印の求めを拒否したところ辞職承認処分を受けたが、その後、Xがこれに関する審査請求を行ったこともあり、当該処分は取り消されるとともに予定期間満了をもって当然退職した旨を通知されたことから(このことに関しても審査請求を行ったが却下された)、Xが国Yに対し、〔1〕主位的には、予定雇用期間満了とされた日の翌日以降もその地位にあることの確認及び平均賃金の支払を、〔2〕予備的には、長期雇用に係る期待権を侵害されたことあるいは辞職を強要されたこと等を理由に国家賠償を請求したケースの控訴審(X控訴)。; 〔1〕については、原審と同様に、Xは、人事院規則八―一四、同規則八―一二第七四条、任用規定三条等が適用される期間の定めのある非常勤職員として採用され、予定雇用期間(採用時には平成七年九月二六日から同月三〇日まで、再採用時には同年一〇月二日から平成八年三月三〇日まで、再々採用時には同年四月一日から同年九月二八日まで)終了後、Xを非常勤職員として採用することを前提とした手続がなされていないことから、Xの地位が期間の定めのない者になったと認めることはできず、また期間の定めのある任用が繰り返されたからといって、任用予定期間満了後の拒否について解雇に関する法理が類推適用されると解する余地もないとして、Xの控訴が棄却されたが、〔2〕の辞職承認処分については、Xに辞職の意思がないにもかかわらずなされた違法な処分であったというべきであり、これは後日取り消されたとはいうものの、Xはそのために本来する必要のなかった審査請求を余儀なくされるなど精神的苦痛を被ったことは明らかであるとして、Yに対し約一二万円(慰謝料・弁護士費用)の損害賠償の支払が命じられ、〔1〕〔2〕ともにXの請求を棄却していた原審の判断が一部変更された事例。
参照法条 労働基準法14条
国家賠償法1条
人事院規則8-12(職員の任免)74条2項
国家公務員法1条
国家公務員法2条1項―3項
体系項目 解雇(民事) / 短期労働契約の更新拒否(雇止め)
裁判年月日 2002年4月11日
裁判所名 札幌高
裁判形式 判決
事件番号 平成12年 (ネ) 359 
裁判結果 一部認容(原判決一部変更)、一部棄却(上告)
出典 労働判例833号78頁
審級関係 一審/07845/札幌地/平12. 8.29/平成9年(ワ)2231号
評釈論文 長谷川聡・法学新報〔中央大学〕110巻5・6号293~312頁2003年10月
判決理由 〔解雇-短期労働契約の更新拒否(雇止め)〕
 当裁判所は、控訴人の本件各請求は主文第1項(1)の限度で理由があるから認容すべきであり、その余はいずれも理由がないので棄却すべきものと判断する。その理由は、次のとおり補正するほか、原判決「事実及び理由」の「第三 判断」に説示のとおりであるから、これを引用する。