全 情 報

ID番号 07952
事件名 地位保全等仮処分申立事件
いわゆる事件名 西浦会事件
争点
事案概要  病院及び介護老人保健施設の経理等を行っている医療法人Yの経営する介護施設で介護職として就労していたXが、就業規則の施設に「属する個人を中傷誹謗し、又、その名誉、信用を傷つけること」という就業規則に該当することを理由に解雇されたことから、Yに対し、右解雇は理由がなく無効であると主張して、従業員としての地位保全及び賃金の仮払いを申し立てたケースで、Xは、当該施設において何ら役職を有しない単なる介護職職員にすぎない、XはこれまでYから注意を受けたことはあったものの、処分を受けたことはなく、Xの勤務態度に問題が生じたのはXのYに対する不満に関係していることからすれば、Yとしては、Xに対してなお個人指導等を行った上で全く改善の余地がないかどうかを見極める必要があったというべきであり特段本人らの弁解を聞く機会も設定せずいきなり解雇という処分を行ったことは重きに失するとし、Xはその勤務態度に協調性の欠ける点や入所者に不安を抱かせる行動(不用意な発言など)をした点からすれば何らかの処分を受けることまでは否定できないが、解雇については解雇を相当とする事実が認められないとして、賃金の仮払いについてのみXの申立てが一部認容された事例。
参照法条 労働基準法89条3号
体系項目 解雇(民事) / 解雇事由 / 協調性の欠如
解雇(民事) / 解雇事由 / 会社批判
裁判年月日 2002年4月18日
裁判所名 大阪地
裁判形式 決定
事件番号 平成14年 (ヨ) 10015 
裁判結果 一部認容、一部却下
出典 労経速報1815号13頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-解雇事由-協調性の欠如〕
〔解雇-解雇事由-会社批判〕
 (ア) 債権者の業務態度に協調性が欠ける部分があり、また、入所者の前で不用意な発言があったことは上記認定事実記載のとおりであるし、債務者の業務内容からすれば、職員は入所者に不安を生じさせるような言動は慎むべきであり、言動には細心の注意が必要とされ、さらには、職務の円滑な遂行の点からチームワークが要求されることは当然のこととして首肯し得るものである。したがって、その点からすれば、債権者の勤務態度に問題があったことは前述のとおりである。
 (イ) しかし、債務者が問題とする債権者の研修等への出席率の低さについては、研修会等への出席が、人事考課の点における評価対象となることはあり得ようが(書証略)によれば、債務者の内外において、非常に多数の研修会等が開催されており、研修会等への出席が業務命令に基づいて行われていたのか、勤務時間との関係はどうなるのか、債権者は(書証略)記載の研修会等のうち本来どの研修会等に出席すべきであったのかは不明であって、債権者の研修会等への出席率が解雇を相当とするほどのものであったと認めるに足りる的確な疎明はない。