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ID番号 08993
事件名 懲戒処分無効確認等請求控訴、同付帯控訴事件
いわゆる事件名 学校法人越原学園(名古屋女子大学)事件
争点 大学教授(労働組合執行委員長)の配転拒否を理由とする解雇の効力が争われた事案(労働者勝訴)
事案概要 (1) 被告 (控訴人、Y)が設置・経営している名古屋女子大学の教授であり、Yから教職員研修室(兼務)の配転命令を受け、これを拒否したことを理由に普通解雇された原告(被控訴人、X)が、Yに対して、地位の確認等を求め提訴したもの。
(2) 名古屋地裁は、本件配転命令は無効であるとして、XがYに対して労働契約上の地位にあることを確認すると共に、未払給与の一部とこれに係る遅延利息のXの請求を認容し、その余の請求を棄却した。名古屋高裁は、二審におけるYの主張について一部付加訂正を行ったほかは、一審判決の事実認定と判断を維持し、賞与の支給についてもこれを容認し、Yの控訴をすべて棄却した。
なお、Yは、これを不服として最高裁に対し上告受理申立てをしたが、最高裁は不受理とし高裁判決が確定した。
参照法条 労働契約法16条
体系項目 配転・出向・転籍・派遣/配転命令の濫用
解雇(民事)/解雇権の濫用
裁判年月日 2014年7月4日
裁判所名 名古屋高
裁判形式 判決
事件番号 平成26年(ネ)223号、平成26年(ネ)363号
裁判結果 付帯控訴認容、控訴棄却
出典 労働判例1101号65頁
審級関係 一審 名古屋地裁/H26.2.13/平成23年(ワ)2000号
評釈論文
判決理由 当裁判所は、Xの請求については、当審において拡張した部分も含めて、理由があるからこれを全部認容すべきものと判断するが、その理由は、次のとおり付加訂正するほかは、原判決「事実及び理由」の「第3 当裁判所の判断」の1ないし3に記載のとおりであるから、これを引用する。当審において新たに取り調べた証拠(〈証拠略〉)を付加して検討しても、上記認定判断は何ら左右されない。
Yは、具体的に誰に対して配転命令を出すかについては、使用者側に相当広い裁量権があるとして、別段組合員を狙い撃ちにしているのではなく、学内行政に対する貢献度が低い、すなわち、あからさまにいえば比較的暇な教員を選ぶと、結果的に組合員に当たるにすぎず、Yには、Xに様々な問題行動があったればこそ、Xを教職員研修室に配属することがXの行動に良い影響を与えるのではないかとの目論見もあったなどと主張して上記認定判断を批判するが、様々な問題行動のある人物を教職員に対する研修を実施する立場にある教職員研修室の室員に選任するのはむしろ不合理というべきであって、上記Yの目論見をもって業務上の必要性があるといえるものではないから、上記Yの主張は採用できない。
平成23年4月分の未払給与28万1727円及び同年5月分の未払給与51万9686円の合計80万1413円並びに上記28万1727円に対する支払日の翌日である同年4月23日から、上記51万9686円に対する同5月24日から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める部分は、理由があるから認容すべきものである。
Xの平成23年度から平成25年度の夏期手当及び年末手当並びにこれらに対する各支払日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める部分も、理由があるから認容すべきものである。