全 情 報

ID番号 09021
事件名 損害賠償請求事件
いわゆる事件名 フジスター事件
争点 性を理由とする賃金差別かが争われた事案(原告一部勝訴)
事案概要 (1) 被告(Y)に雇用され、約20年間勤務した後、定年退職した原告(X)が、在職中、Xが女性であることを理由として、賃金(基本給及び各種手当を含む。)及び賞与が男性従業員よりも不当に低く抑えられたと主張し、それらの差額の支給と同額の損害賠償等を求め提訴したもの。
(2) 福岡地裁久留米支部は、Xの請求を一部認容した。
参照法条 労働基準法4条
雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律6条
体系項目 労基法の基本原則(民事)/男女同一賃金、同一労働同一賃金
労働契約(民事)/労働契約上の権利義務/使用者に対する労災以外の損害賠償
裁判年月日 2014年7月18日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 平成21年(ワ)43218号
裁判結果 一部認容、一部棄却
出典 労働経済判例速報2227号9頁
審級関係
評釈論文
判決理由 Xは、その在職中、Yの不法行為により、同じ企画職の男性従業員と比べて、役職手当(主任手当)の支給される時期が著しく遅くなるという不利益を被っていた。そして、この不利益は、Xが支給されるべき時間外割増手当やXが受給すべき年金額にも一定の不利益を及ぼすものである。これらの不利益の程度を具体的に認定することができないことは既に述べたとおりであるが、Xは、Yのかかる取扱いにより、性別により差別されないという人格権を侵害されたものであり、これによりXが被った精神的損害を慰謝するには、上記のXが被った不利益をも考慮した相応の金員の支払が必要である。そこで検討するに、Xと、企画職の男性従業員との間の主任手当の支給額の差額、Xの勤続年数、Yにおける賃金決定方法について、経営陣の裁量に委ねられる部分が大きく、Xの予測可能性が乏しいといえること、上記のとおりXが具体的な程度を認定することはできないが一定の不利益を受けていること、その他本件に現れた諸般の事情を総合すると、Xの慰謝料は、50万円と認めるのが相当である。