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ID番号 09048
事件名 未払賃金請求事件
いわゆる事件名 国立大学法人京都大学事件
争点 国立大学法人の給与減額をする就業規則変更の有効性が問われた事案(労働者敗訴)
事案概要 (1) 被告Y(国立大学法人京都大学)の教職員として勤務していた原告Xらが、平成二四年八月一日から平成二六年三月三一日までの期間につき一定の割合で教職員の給与を減額することを内容とする「国立大学法人京都大学教職員の給与の臨時特例に関する規程」は、就業規則を不利益に変更するものであって無効であると主張し、Yに対し、雇用契約に基づく給与請求として、それぞれ同規程により減額された俸給月額、期末手当及び勤勉手当並びに遅延損害金の支払を求め提訴したもの。
(2) 京都地裁は、本件特例規程による変更に合理性があるとしてXの請求を棄却した。
参照法条 労働契約法10条
体系項目 就業規則(民事)/就業規則の一方的不利益変更/賃金・賞与
裁判年月日 2015年5月7日
裁判所名 京都地
裁判形式 判決
事件番号 平成25年(ワ)第1917号/平成26年(ワ)第20号/平成26年(ワ)第2286号
裁判結果 棄却
出典 労働経済判例速報2252号3頁
労働法律旬報1848号41頁
審級関係
評釈論文 岩橋多恵・労働法律旬報1848号19~21頁2015年9月25日
矢野昌浩・法学セミナー60巻12号117頁2015年12月
藤内和公・岡山大学法学会雑誌65巻2号318~292頁2015年12月
畑井清隆・法律時報88巻7号115~118頁2016年6月
判決理由 〔就業規則(民事)‐就業規則の一方的不利益変更‐賃金・賞与〕
 本件特例規程は、教職員の給与が、社会一般の情勢に適合したものとなるように、又は国家公務員の例に準拠するものとなるように一定の減額を実施すべき高度の必要性が存したことによって制定及び改定されたものであって、これによってXらを含む教職員に生ずる不利益も、特に他の国立大学法人と比較すれば限定的なものにとどまっていることなどに照らせば、それ自体相当性を有するというべきものであり、また、その制定及び改定に当たっては、職員組合との十分な団体交渉が繰り返されているのであって、これらの事情を総合的にみると、本件特例規程による給与規程の変更は、合理的なものであると認めるのが相当である。