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ID番号 09074
事件名 賃金等請求事件
いわゆる事件名 アールエス興業事件
争点 年休、未払残業代、休日労働分の未払賃金が争われた事案(労働者一部勝訴)
事案概要 (1) 被告Y社でY指定の作業現場で揚重作業に従事していた原告Xが、Yに対し、平成23年9月18日に20日、平成24年9月18日に20日、平成25年9月18日に20日の合計60日の年次有給休暇(以下「年休」という。)を取得し、その時季指定権を行使したとして、労働基準法39条に基づき未払賃金60万円、雇用契約に基づき、未払残業代としての未払賃金、休日労働分の未払割増賃金の支払を求めるとともに、労働基準法114条に基づき付加金の支払を求め提訴したもの。
(2) 横浜地裁川崎支部はXの請求を一部認容した。
参照法条 労働基準法39条
労働基準法32条2項
労働基準法37条
体系項目 賃金(民事)/賃金の支払い原則/全額払・相殺
裁判年月日 2015年9月30日
裁判所名 横浜地裁川崎支部
裁判形式 判決
事件番号 平成26年(ワ)第879号
裁判結果 一部認容、一部棄却
出典 労働判例1125号16頁
審級関係 控訴
評釈論文
判決理由 〔賃金(民事)‐賃金の支払い原則‐全額払・相殺〕
 Xには、平成23年9月18日から平成24年9月17日までの間の年休権の成立が認められ、Xは、本件退職届出書1によって有給休暇の時季を指定するとの意思表示をしたものと認めるのが相当であるから、Yに対して、年休20日分に相当する20万円の賃金支払請求権を有する。したがって、Xの年休権の成立に関する未払賃金の支払請求権は上記限度で理由がある。(中略)
 労働時間6時間以上8時間以内の残業の場合は、1時間当たり1500円、8時間以上の残業の場合は、1時間当たりの賃金額である1666円の割増率(2割5分)分に相当する賃金額である1時間当たり2082円で計算すると別紙5〈略〉記載のとおりとなり、その合計額は5万2486円となる。そして、YはXに対し、未払残業代として2万2225円を支払っている(〈証拠略〉)ので、結局、XはYに対して3万0261円の支払請求権を有する。Xの未払残業代金支払請求はこの限度で理由がある。(中略)
 本件証拠上、Xが、本件休業日3の各日について、Yに対して勤務が可能であると申し出て労務を提供するとの意思表示をしたこと及びXから勤務可能との申出があったにもかかわらず、Yが本件休業日3の各日につき、Xに対して具体的な就労の日時及び作業現場を指定せず、就労義務を具体的に免除したことを認めるに足りる客観的かつ的確な証拠はない。(中略)
 Xは法定の休日に該当する平成24年7月8日(日曜日)に6時間30分就業している(〈証拠略〉)ので、1時間当たりの賃金額(1666円)に休日労働時間と割増率(3割5分)を乗じて計算した額の支払請求を有するところ、Yから1万0750円の支払を受けているので、Xの請求は2750円全額について理由がある。