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ID番号 09078
事件名 労働契約地位確認請求事件
いわゆる事件名 三洋電機(契約社員・雇止め)事件
争点 契約更新を繰り返してきた契約社員に対する雇止めの有効性が問われた事案(労働者敗訴)
事案概要 (1) 電気・通信・電子及び照明機械器具の販売、製造等を目的とする株式会社である被告Y(三洋電機コンシューマエレクトロニクス)に雇用されていた原告Xが、Yに対し、YのXに対する解雇ないし雇止めは無効であるとして、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認並びに平成25年4月から判決確定の日までの賃金及びこれに対する遅延損害金の支払を求め提訴したもの。
(2) 鳥取地裁は、本件雇止めは客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当でないとはいえないとし雇止めは有効であるとした。
参照法条 労働契約法19条1号、2号
体系項目 解雇(民事)/短期労働契約の更新拒否(雇止め) /短期労働契約の更新拒否(雇止め)
解雇(民事)/解雇権の濫用/解雇権の濫用
裁判年月日 2015年10月16日
裁判所名 鳥取地
裁判形式 判決
事件番号 平成25年(ワ)68号
裁判結果 棄却
出典 労働判例1128号32頁
審級関係 控訴
評釈論文
判決理由 〔解雇(民事)/短期労働契約の更新拒否(雇止め) /短期労働契約の更新拒否(雇止め)〕
〔解雇(民事)/解雇権の濫用/解雇権の濫用〕
 本件雇止めが、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない」といえるか(同法19条柱書)が問題となるところ、既に認定・検討したとおり、Xには、雇用契約の更新の合理的期待を有していたといえるし、本件雇用契約は、約30年にわたり更新されてきたものであるが、他方、その更新の大半において、Yは、契約書を作成し直しているし、労働条件が変更するごとに契約書を作成しXに提示してきており、更新手続は厳格であって、契約書の文言上も、当然には更新することが予定されているとはいえないこと(上記4(1))、Xが所属していたG事業部が人員余剰となり、Yに事業移管されて鳥取地区から撤退するなど、Yの鳥取地区における事業は縮小の一途をたどっていたこと(上記4(2))からして、雇用契約の更新に寄せられる期待の合理性は相対的には減弱していたと評価すべきである。そうすると、本件雇止めにおいては、その理由自体に強度の合理性が要求されるべきであるとはいえず、Xから寄せられる上記期待に見合った程度の合理性さえ欠くといった場合においてはじめて、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない」場合に該当するというべきである。(中略)
 XとYは、昭和59年6月20日ころに、契約期間を1年とする雇用契約を締結して以来、平成25年3月31日の雇止めまで、約30回にわたり雇用契約を更新し続けてきたこと、他の新準社員が雇止めされた例があるとは認められないこと(認定事実(1)エに関し、Yの主張によっても、X以外の新準社員は自発的に退職したのであって、Yが雇止めをしたものとは認められない。)、Xの業務内容が正社員のそれと比して特段臨時性ないし特殊性が認められるものではないこと(認定事実(1)ウの業務内容にはかかる臨時性・特殊性は認められない。)からすると、Xには、上記雇止めがされた時点において、雇用が継続することへの合理的な期待が生じていたというべきである。(中略)
 Xは、雇止めが不合理であることを種々述べるが、いずれもその前提を欠くか、理由がないというべきであり、その他、雇止めが不合理であることを認めるに足りる証拠はない。