全 情 報

ID番号 09096
事件名 地位確認等請求事件
いわゆる事件名 野村證券事件
争点 懲戒解雇の有効性が問われた事案(労働者勝訴)
事案概要 (1) 証券会社Y(被告)との間で労働契約を締結していたX(原告)が、Yに対し、Yによる懲戒解雇は無効であると主張して、労働契約上の権利を有する地位の確認を求めるとともに、未払賃金及び賞与並びにこれらに対する遅延損害金の各支払を求め、また、上記懲戒解雇がXに対する不法行為を構成すると主張して、民法709条に基づき、慰謝料1000万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める事案である。
(2)東京地裁は、本件懲戒解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認めることができず、懲戒権を濫用したものとして、無効であるとし、Xの地位確認請求および未払賃金請求の一部を認容した。
参照法条 民法709条
民事訴訟法135条
労働契約法15条
体系項目 懲戒・懲戒解雇/懲戒事由/(17) 守秘義務違反
懲戒・懲戒解雇/懲戒手続
裁判年月日 2016年2月26日
裁判所名 東京地裁
裁判形式 判決
事件番号 平成24年(ワ)第29263号
裁判結果 一部却下、一部認容、一部棄却
出典 労働判例1136号32頁
審級関係 控訴
評釈論文
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇/懲戒事由/(17) 守秘義務違反〕
〔懲戒・懲戒解雇/懲戒手続〕
 Yが顧客情報の漏えいであると主張する会話のうち、(略)(一部については)顧客情報を漏えいするものとして、就業規則42条14号及び20号所定の懲戒事由に該当するということができるが、その余の会話については、就業規則所定の懲戒事由に該当するとは認められない。
 本件会話を懲戒事由として、懲戒処分の中で最も重い懲戒解雇処分を行うことは、重きに失することが明らかというべきであり、また、本件懲戒解雇は、懲戒事由に該当すると認められる事実について弁解の機会を全く与えることなく行ったという点において、手続的にも妥当を欠くものであったといわざるを得ない。したがって、本件懲戒解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認めることができず、懲戒権を濫用したものとして、無効であるというべきである。