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ID番号 09101
事件名 地位確認等請求控訴事件
いわゆる事件名 AGORA TECHNO事件
争点 課長職の管理監督者性が問われた事案(労働者勝訴)
事案概要 (1) 人材紹介会社の株式会社の紹介で、平成25年1月1日より半導体製造機械の周辺装置の設計・販売等を業とする株式会社Y(被告)に入社し、平成26年2月28日にYを退社したX(原告)が、退職後、被告に対し、平成25年1月分から同年8月分の残業代及びこれと同額の付加金の支払を求める事件である。
(2) 東京地裁は、Xの管理監督者性を否定して残業代請求を認容し、付加金請求については棄却した。
参照法条 労働基準法41条2号
体系項目 労働時間(民事)/労働時間・休憩・休日の適用除外/(2) 管理監督者
裁判年月日 2016年3月25日
裁判所名 東京地裁
裁判形式 判決
事件番号 平成26年(ワ)21031号
裁判結果 一部認容、一部棄却
出典
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労働時間(民事)/労働時間・休憩・休日の適用除外/(2) 管理監督者〕
 管理監督者には労働時間、休憩及び休日に関する労働基準法の規定を適用しない旨を定める労働基準法41条2号の趣旨は、管理監督者は、労働条件の決定その他労務管理等の重要な職務・権限を有し、それに伴う責任も負うなど経営者と一体的な立場にあるため、同法の定める労働時間規制を超えて活動することが要請されるところ、出退勤等の自己の労働時間につき自由裁量を有し、かつ、その地位にふさわしい待遇を受けているため、厳格な労働時間規制をしなくても労働者保護に欠けることにはならないことにあるというべきである。
 そこで、管理監督者に該当するかは、その業務内容、権限及び責任に照らし、労務管理等に関して経営者と一体的な立場にあるといえるか、出退勤等の自己の労働時間について裁量権を有しているか、その地位にふさわしい待遇を得ているか、等の諸点を総合して判断するべきである。
 Xが、業務内容、権限及び責任に照らし、労務管理等に関して経営者と一体的な立場にあること及び地位にふさわしい待遇を得ていたことについては認められないことから、Xは管理監督者には該当しない。