全 情 報

ID番号 09139
事件名 地位確認等請求事件
いわゆる事件名 ジャパンレンタカー事件
争点 契約更新を繰り返してきた契約社員に対する雇止めの有効性等が問われた事案(労働者敗訴)
事案概要 (1) 一般乗用旅客自動車運送事業、自動車の貸付業、遊技場の経営等を目的とするY(被告)に雇止めされたX(原告)が、地位確認、未払賃金の支払い、およびXを社会保険に加入させなかったことにつき不法行為による損害賠償金の支払いを求め提訴した事案である。
(2) 津地裁は、本件雇止めを無効とし、不法行為の成立も認め、Xの請求を一部認容した。
参照法条 労働契約法19条
民法709条
体系項目 解雇(民事)/短期労働契約の更新拒否(雇止め)
解雇(民事)/解雇権の濫用
労働契約(民事)/労働契約上の権利義務/(23)使用者に対する労災以外の損害賠償
裁判年月日 2016年10月25日
裁判所名 津地裁
裁判形式 判決
事件番号 平成27年(ワ)232号
裁判結果 一部認容、一部棄却
出典 労働判例1160号14頁
審級関係 控訴
評釈論文
判決理由 〔解雇(民事)/短期労働契約の更新拒否(雇止め)〕
〔解雇(民事)/解雇権の濫用〕
 Xは、平成4年4月1日から平成26年12月20日の本件雇止めに至るまで、Y営業所間を異動しながら、22年以上もの間、6か月ごと又は2か月ごとにYとの有期労働契約の更新を繰り返していたこと、Xの業務内容は、6か月あるいは2か月で終了するような期限が決められた業務ではなく、勤務時間帯が夜間であるというだけで、正社員とそれほど変わらない業務内容であったこと(F証人)、Xが雇用されていた間、Yから意に反して雇止めにされた従業員はいなかったこと、更新手続は形骸化しており、雇用期間満了後に更新手続が行われることもあったこと等からすれば、XY間の有期労働契約は、期間の定めのない労働契約とほぼ同視できるものであったといえる。
 Yが主張する本件雇止めの理由は、いずれも合理的な理由たり得ず、これらを総合考慮しても、本件雇止めは客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であるとは認められない。
〔労働契約(民事)/労働契約上の権利義務/(23)使用者に対する労災以外の損害賠償〕
 Yが、届出義務があるのにこれを怠り、Xを雇用してから本件雇止めに至るまで、健康保険、厚生年金及び雇用保険の届出をしていなかった事実に争いはない。
 したがって、Yは、故意又は過失によって、Xの健康保険、厚生年金及び雇用保険に加入する権利を侵害したものであるから、Xに対し、民法709条の不法行為責任を負う。