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ID番号 09144
事件名 労働契約上の地位確認等請求上告事件
いわゆる事件名 福原学園(九州女子短期大学)事件
争点 3年上限の短期大学非常勤講師に対する雇止めの有効性が問われた事案(労働者逆転敗訴)
事案概要 (1) 学校法人Y(被告、控訴人、上告人)との間で、契約期間は3年、ただし、1年ごとの更新とする労働契約を締結し、Yの運営する短期大学において講師として勤務していたX(原告、被控訴人、被上告人)が、1年目の契約でYの行った雇止めは無効であると主張して、労働契約上の地位の確認及び未払賃金の支払を求める事案である。
(2) 福岡地裁は、本件雇止めは客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当でないとしXの請求を認容したため、Yが控訴したところ、福岡高裁は、採用当初の三年の契約期間に対するYの認識や契約職員の更新の実態等に照らせば、上記三年は試用期間であり、特段の事情のない限り、無期労働契約に移行するとの期待に客観的な合理性があるものというべきであるとし、本件労働契約は無期労働契約に移行したものと認めるのが相当であるとてXの請求を認容したため、Yが上告したところ、最高裁は、本件労働契約が当然に無期労働契約とはならないとして、地位確認請求および一部の賃金請求につき一審判決を取り消した。
参照法条 労働契約法6条
労働契約法18条
体系項目 解雇(民事)/短期労働契約の更新拒否(雇止め)
裁判年月日 2016年12月1日
裁判所名 最高裁第一小法廷
裁判形式 判決
事件番号 平成27年(受)589号
裁判結果 一部破棄自判、一部棄却
出典 裁判所時報1665号3頁
判例時報2330号84頁
判例タイムズ1435号89頁
労働判例1156号5頁
審級関係 一審 福岡地裁/平成26年2月27日/平成24年(ワ)第1329号
控訴審 福岡高裁/平成26年12月12日/平成26年(ネ)第243号
確定
評釈論文
判決理由 〔解雇(民事)/短期労働契約の更新拒否(雇止め)〕
 本件労働契約は、期間一年の有期労働契約として締結されたものであるところ、その内容となる本件規程には、契約期間の更新限度が三年であり、その満了時に労働契約を期間の定めのないものとすることができるのは、これを希望する契約職員の勤務成績を考慮してYが必要であると認めた場合である旨が明確に定められていたのであり、Xもこのことを十分に認識した上で本件労働契約を締結したものとみることができる。上記のような本件労働契約の定めに加え、Xが大学の教員としてYに雇用された者であり、大学の教員の雇用については一般に流動性のあることが想定されていることや、Yの運営する三つの大学において、三年の更新限度期間の満了後に労働契約が期間の定めのないものとならなかった契約職員も複数に上っていたことに照らせば、本件労働契約が期間の定めのないものとなるか否かは、Xの勤務成績を考慮して行うYの判断に委ねられているものというべきであり、本件労働契約が三年の更新限度期間の満了時に当然に無期労働契約となることを内容とするものであったと解することはできない。そして、前記二(3)の事実関係に照らせば、Yが本件労働契約を期間の定めのないものとする必要性を認めていなかったことは明らかである。
 また、有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換について定める労働契約法一八条の要件をXが満たしていないことも明らかであり、他に、本件事実関係の下において、本件労働契約が期間の定めのないものとなったと解すべき事情を見いだすことはできない。
 以上によれば、本件労働契約は、平成二六年四月一日から期間の定めのないものとなったとはいえず、同年三月三一日をもって終了したというべきである。