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ID番号 09146
事件名 公務外災害認定処分取消請求事件
いわゆる事件名 地方公務員災害補償基金岐阜県支部長(うつ病自殺)事件
争点 市職員の自殺につき公務起因性が問われた事案(労働者勝訴)
事案概要 (1) X(原告)が、D市の職員であった夫の亡Eが平成19年11月26日に自殺したのは、公務に起因して発生した精神疾患が原因であると主張し、地方公務員災害補償基金岐阜県支部長(処分行政庁)が本件災害について平成23年8月1日付けでした公務外災害認定処分(以下「本件処分」という。)の取消しを求める事案である。
(2) 岐阜地裁は、公務起因性を認め、Xの請求を認容した。
参照法条 地方公務員災害補償法1条
体系項目 労災補償・労災保険/業務上・外認定/(2) 業務起因性
裁判年月日 2016年12月22日
裁判所名 岐阜地裁
裁判形式 判決
事件番号 平成25年(行ウ)11号
裁判結果 認容
出典
審級関係 控訴
評釈論文
判決理由 〔労災補償・労災保険/業務上・外認定/(2) 業務起因性〕
 亡Eは、業務の面からも、人間関係の面からも、精神的負荷のかかった状態にあり、肉体的にも精神的にも疲労のたまっている状態であったところ、本件遊具の設置問題があり、後閲問題が発生し、後閲問題により、自尊心を深く傷つけられ、この問題による亡Eへの精神的負荷は、それ以前のH部長との関係から生じた精神的負荷や日常業務による肉体的、精神的疲労とも相まって、極めて強いものであったと認められる。(略)
 本件災害当時抑うつ状態にあった亡Eは、抑うつ状態という精神疾患から、本件災害当日に発生したD公園内での事故の報告を受けたことを引き金に、突然発生する事故等にこれ以上耐え切れなくなり、発作的にD市役所本庁舎8階から飛び降りて、本件災害が発生したものと認められるから、上記精神疾患と本件災害との間の相当因果関係は肯定することができる。
 そうすると、亡Eが従事した公務と本件災害との間には相当因果関係が認められることになるから、本件災害には公務起因性が認められる。