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ID番号 09155
事件名 公務外認定処分取消請求控訴事件
いわゆる事件名 地公災基金東京都支部長(市立A小学校教諭)事件
争点 小学校教諭のうつ病発症後の自殺につき公務起因性が問われた事案(労働者勝訴)
事案概要 (1) A小学校の教諭として勤務していた亡Bの父母であるX(原告、被控訴人)らが、Bは公務に起因してうつ病を発症し自殺するに至ったと主張して、Y(地方公務員災害補償基金、被告、控訴人)に対し、処分行政庁がBに係る地方公務員災害補償法に基づく公務災害認定請求について平成23年2月17日付けでした公務外認定処分(以下「本件処分」という。)の取消しを求めた事案である。
(2) 東京地裁は、Bのうつ病発症は公務に起因しており、うつ病発症後も、治癒しない状態で職場に復帰して、再び業務による負荷を受けるに至ったものであるため、Bの自殺には公務起因性が認められるとして、Xらの請求をいずれも棄却した。
参照法条 労働者災害補償保険法16条
地方公務員災害補償法31条
体系項目 労災補償・労災保険/業務上・外認定/(2) 業務起因性
裁判年月日 2017年2月23日
裁判所名 東京高裁
裁判形式 判決
事件番号 平成28年(行コ)116号
裁判結果 控訴棄却
出典 労働判例1158号59頁
審級関係 確定
評釈論文 榎本英紀・経営法曹197号43~50頁
判決理由 〔労災補償・労災保険/業務上・外認定/(2) 業務起因性〕
 Bのうつ病発症時期は平成18年6月末頃から同年7月初旬頃であると認められるところ、うつ病発症前に発生した業務上の出来事については、その内容や発生時期のほか、学校等において十分な支援が行われず、かえってその負荷を強めるような発言もあったことを考慮すると、全体として業務による強い精神的・肉体的負荷を与える事象であったと認めるのが相当であり、これに自宅における作業を含む時間外労働の負荷が加わっていたとする前記の認定判断を左右するものとはいえない。よって、Xらの本件請求を認容した原判決は相当であって、本件控訴は理由がないから棄却する。