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ID番号 09157
事件名 賃金等請求事件
いわゆる事件名 アサクラ電機事件
争点 電気販売店の開業者(研修生)の労働者性が問われた事案(労働者勝訴)
事案概要 A社のフランチャイザーである家庭用電気製品の小売店であるY(被告)、X(原告)、およびA社は、Xを開業者(研修生)、Yを開業者を受け入れる店として、三者間で「Y電気開業者研修及び開業契約書(本件契約書)」を作成し締結していたところ,XがYとの間に雇用契約関係があることを前提に,①最賃法違反の期間について差額賃金の支払,②自宅待機命令を受けたとして自宅待機期間中の賃金の支払,③時間外労働を行ったとして割増賃金の支払を求める事案である。
参照法条 労働基準法9条
最低賃金法
体系項目 労基法の基本原則(民事)/労働者/(31)開業者・研修生
賃金/最低賃金
裁判年月日 2017年3月7日
裁判所名 大阪地裁
裁判形式 判決
事件番号 平27(ワ)7616号
裁判結果 一部認容
出典
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労基法の基本原則(民事)/労働者/(31) 開業者・研修生〕
〔賃金/最低賃金〕
 Xが具体的な業務遂行方法について,Yの指揮命令下にあったことは明らかであり、工事台帳には,Xが早退したり,欠勤したりした旨の記載がなされており、Xには,時間的・場所的拘束性があったといえ、YがXに対し,毎月「給料支払明細書」を交付し,「基本給」,「本部」,「交通費」という費目で金員を支給し、平成26年7月分以降は源泉徴収や雇用保険への加入もしていたことが認められ,これらはYがXに対する支払を賃金と認識していたことをうかがわせる事情であると評価することができる。
 Yが主張する開業者研修は,その制度について十分な検討がなされたものということはできず,既に説示した客観的な事情等からすれば,YあるいはA社において開業者研修と位置づけており,Xが,「研修生」と呼称されていたとしても,法的に評価すれば,Xは,労基法が定める「労働者」に該当するというべきである。
 YがXに対して本件パート再雇用制度による再雇用を提示したものの、Xがこれを拒否し、同制度による再雇用を希望しなかったことが認められるから、Yが本件パート再雇用制度によりXを再雇用しなかったことについても違法とはいえない。
 Xが労働者であることからすれば最賃法の適用を受けることになるところ,平成25年4月分から平成26年3月分,平成27年4月分は最低賃金を下回ることになり、YのXに対する未払賃金が存在することになる。