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ID番号 09171
事件名 損害賠償請求事件
いわゆる事件名 富士美術印刷ほか事件
争点 会社破産につき組合員排除目的の有無などが問われた事案(労働者敗訴)
事案概要 一般印刷及び紙器の加工請負等を業とするY社から製版業務を請け負っていたA社の社員であるX1、X2およびX3(原告ら)が、Y1社およびY1社役員のY2、Y3、A社役員のY4、Y5に対して、Xら組合員を排除する意図でA社の請負代金の不当な値引きを強要し破産させたとして、Y1社らに対して共同不法行為に基づき、およびY2~Y5に対して会社法429条1項に基づき損害賠償請求を、A社の社員であるX4およびX5が、A社破産を理由にY1社で就労拒絶することは違法であるとして、未払い賃金請求、およびX1~X3と同様の請求をおこなった事案である。
参照法条 民法709条
会社法429条
民事訴訟法
労働契約法
体系項目 労働契約(民事)/労働契約上の権利義務/(23)使用者に対する労災以外の損害賠償
裁判年月日 2017年4月13日
裁判所名 東京地裁
裁判形式 判決
事件番号 平成27年(ワ)6033号
裁判結果 棄却
出典 労働判例1161号31頁
審級関係 控訴
評釈論文
判決理由 :〔労働契約(民事)/労働契約上の権利義務/(23)使用者に対する労災以外の損害賠償〕
 本件では、値引きに起因してフジ製版が破産に至ったものとは到底認められず、フジ製版の破産に関し、Xらが主張する不法行為が成立するとは認められない。
 X4およびX5はY1社との関係でいずれも雇用関係が認められないため、Y1社に対する賃金請求には理由がない。
 Y2およびY3はY1社の役員であり、仮にA社との取引において下請代金の値引きを求めたとしても、それがY1社に対する関係で任務懈怠に当たるとは解しがたいから、会社法429条1項の責任は認められない。
 Y4およびY5はA社の経営改善のため、Y1社に対し値上げを求めたこと、人件費削減のための希望退職をも週したこと、新規取引先の開拓をしていたことなど、経営者として相応の努力をしていたことが認められ、任務懈怠は認められない。