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ID番号 09176
事件名 損害賠償請求事件
いわゆる事件名 凸版物流ほか1社事件
争点 日雇い派遣・日々職業紹介の違法性等が問われた事案(労働者敗訴)
事案概要 XはY1(被告)に派遣登録して日雇い派遣労働者として稼働し、Y2に派遣されて就労し、その後Y1による職業紹介を受け、Y2に雇用されて就労していたが、Xは、Y1、Y2が日雇派遣および日々職業紹介という職安法44条に違反してXを労働者として供給していたこと、労基法6条違反の中間搾取があったこと、Y1およびY2における過重労働により、両前腕部に障害を負い、Y1らは安全配慮義務を怠っていたことなどを主張して、Y1およびY2に対して不法行為に基づく損害賠償請求等を求めた事案である。
参照法条 民法709条
民法719条
民事訴訟法221条
民事訴訟法247条
労働契約法17条
労働基準法6条
職業安定法44条
体系項目 労働契約(民事)/労働契約上の権利義務/(23)使用者に対する労災以外の損害賠償
裁判年月日 2017年5月11日
裁判所名 さいたま地裁川越支部
裁判形式 判決
事件番号 平成26年(ワ)510号
裁判結果 棄却
出典 判例時報2355号97頁
労働判例1170号34頁
労働経済判例速報2319号3頁
労働法律旬報1899号56頁
審級関係 控訴
評釈論文 萬井隆令・労働法律旬報1899号30~37頁
判決理由 :〔労働契約(民事)/労働契約上の権利義務/(23)使用者に対する労災以外の損害賠償〕
 Y1は、労働者派遣事業及び職業紹介事業の許認可を受けており、Y1、Y2の日雇派遣ないし日々職業紹介の態様が直ちに違法性のある行為であるとまでいうことは困難であり、また、労働契約法一七条二項は、使用者に対し配慮を求める規定であり、一日単位の雇用が直ちに違法とまでいうことができないことに照らすと、一日単位の雇用が違法性のある行為であるとまでいうことは困難であり、また、職安法が、職業安定期間以外の者の行う職業紹介事業等の適正な運営を確保することなどを目的とする(同法一条)、行政上の取締法規であることを踏まえれば、仮に、同法に違反する事実が認められたとしても、そのことから直ちに労働者の個々具体的な法律上保護されるべき利益が損なわれたものとみることはできないというべきであるところ、Xも、Y1に登録し、派遣ないし紹介の形でY2で稼働して各労働契約に基づき、賃金の支払を受けていたと認められ、この点について、Xに何らかの法律上の不利益が生じていたものとは認められない。