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ID番号 09199
事件名 損害賠償請求事件
いわゆる事件名 学校法人明治大学(准教授・制限措置等)事件
争点 論文不正行為等を契機とする准教授への研究活動制限措置等の違法性が問われた事案(労働者敗訴)
事案概要 Y(被告)が設置するY大学の情報コミュニケーション学部の教授会が同学部の准教授であるX(原告)が同学部紀要で発表した論文の記載の一部がインターネット上のBの記載と酷似しているとの情報提供があり、YがXに対して研究活動制限措置、対外的活動制限措置、議決権停止措置、授業担当停止措置をし、Xが対外的活動制限措置に違反して、市民講座の講師役を引き受け、これを開催日直前に辞退したことについて、研究活動制限措置、対外的活動制限措置および議決権停止措置を無制限とする措置、無制限のゼミ等担当停止措置をおこなったことについて、Xの教授研究の自由を違法に侵害し、またXが特定個人研究費の申請を禁止され(申請禁止措置)、Xの教授研究の自由を違法に侵害したとして、Yに減給相当額の逸失利益および慰謝料などの支払を求めた事案である。
参照法条
体系項目 労働契約(民事)/労働契約上の権利義務/(23)使用者に対する労災以外の
裁判年月日 2017年9月29日
裁判所名 東京地裁
裁判形式 判決
事件番号 平成27年(ワ)33984号
裁判結果 棄却
出典 労働判例1181号27頁
審級関係 控訴
評釈論文
判決理由 〔労働契約(民事)/労働契約上の権利義務/(23)使用者に対する労災以外の損害賠償〕
 憲法23条および学校法人法の趣旨からして、学部教授会は広範な裁量権を有しているものと解するのが相当であるが、裁量権も絶対無制限なものではなく、教員らに対する措置が、大学の自治という趣旨に照らしてみても、裁量権の範囲を逸脱し、教員らの権利を不当に制約するものと認められる場合には、権利の濫用に当たり、当該措置は違法になるものと解するのが相当である。
 学部教授会が、本件論文不正問題の重大性等に照らし、学生の適正な教育環境を保全したり、大学等の名誉、信用を維持したりするために行ったものであり、教授会の裁量の範囲内に留まるものと認めることができ、Xに対する不法行為に当たらない。
 学部教授会が、Xの本件対外的活動制限措置への違反及び本件講演依頼に関する対応の問題の重大性等に照らし、学生の適正な教育環境を保全したり、大学等の名誉、信用を維持したりするために行ったものであり、教授会の裁量権の範囲内に留まるものと認めることができ、Xに対する不法行為に当たらない。