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ID番号 09209
事件名 地位確認等請求事件
いわゆる事件名 学校法人大阪医科薬科大学(旧大阪医科大学)事件
争点 大学病院非常勤職員と正規職員との間の処遇格差の合理性が問われた事案(労働者勝訴)
事案概要 Y(被告)において有期雇用職員として就労していたX(原告)が、〈1〉XY間の雇用契約において定められた労働条件は、Yにおける無期雇用職員の労働条件を下回っており、20条に違反するとして、主位的には無期雇用職員と同様の労働条件が適用されることを前提として、また、予備的には労契法20条に違反する労働条件を適用することは不法行為にあたるとして、無期雇用職員との差額賃金等合計約1038万円の支払、〈2〉YがXに対して労契法20条に違反する労働条件を適用していたことは不法行為にあたるとして、慰謝料等合計約135万円の支払、並びに遅延損害金の支払をそれぞれ求めていた事案である。
参照法条 民法709条
労働契約法20条
体系項目 労基法の基本原則(民事)/均等待遇/(14)短時間・有期雇用労働者と均等待遇
裁判年月日 2018年1月24日
裁判所名 大阪地裁
裁判形式 判決
事件番号 平成27年(ワ)8334号
裁判結果 請求棄却
出典 判例タイムズ1460号74頁
労働判例1175号5頁
労働経済判例速報2347号18頁
労働法律旬報1907号42頁
審級関係 控訴
評釈論文
判決理由 〔労基法の基本原則(民事)/均等待遇/(14)短時間・有期雇用労働者と均等待遇〕
 有期雇用労働者と無期雇用労働者との間で労働条件に相違がある場合は、期間の定めの有無と明らかに関連がない相違である場合を除き、労契法20条が掲げる各要素に照らし、不合理であるか否かを判断するのが相当であるというべきである。
 Xは、Xと正職員の教室事務員を比較対照されるべきであると主張するが、正職員の教室事務員は他の部門に配置転換される可能性があり、その労働条件は、Yにおける正職員全体の平均的な労務提供の内容を踏まえて設定されているものと認められることに鑑みると、本件における労契法20条に係る不合理性の判断においては、有期雇用職員(アルバイト職員)であるXと無期雇用職員である被告の正職員全体を比較対照するのが相当というべきである。
 Xが主張する賃金、賞与、年末年始等の休日への賃金支給の有無、年休日数、夏季特別休暇、私傷病による欠勤、医療費補助についての処遇の相違は、いずれも不合理な労働条件の相違とまでは認められず、労契法20条に違反するとはいえない。