全 情 報

ID番号 09233
事件名 地位保全等仮処分命令申立事件
いわゆる事件名 国際自動車(再雇用更新拒絶第2・仮処分)事件
争点 タクシー運転手の雇止めの有効性が問われた事案(労働者勝訴)
事案概要 一般旅客自動車運送事業を営む債務者Yとの間で、労働者供給契約を介して、雇用期間1年の有期労働契約を締結して稼働していた債権者Xが、Yの雇止めが、客観的に合理的な理由及び社会通念上の相当性を欠くものであり、労働契約法19条によりXとYとの間の労働契約は従前と同一の内容で更新されたなどと主張して、債務者に対し地位保全及び賃金仮払いを求めた事案である。
参照法条 労働契約法19条
体系項目 解雇(民事)/短期労働契約の更新拒否 (雇止め)
裁判年月日 2018年5月11日
裁判所名 東京地裁
裁判形式 決定
事件番号 平成30年(ヨ)21005号
裁判結果 一部認容、一部却下
出典 労働判例1192号60頁
審級関係 控訴
評釈論文
判決理由 〔解雇(民事)/短期労働契約の更新拒否 (雇止め)〕
 「XとYは雇用契約書を締結し、Xが労務を提供し、Yがその対価として賃金を支払う旨の合意をし、XはYのタクシー乗務員としてYの指揮命令の下で債務者の業務に従事していたのであるから、XとYとの間には雇用契約が成立していたことが一応認められる。この雇用契約は、労働契約法上の労働契約(同法6条)に該当することから、労働契約法の適用対象となる」。
 YはXの健康状態を理由に短時間勤務としたが、「Xは72歳であり、同年の者の中には短時間勤務である者もいるが、Yで働く労働者のなかには、72歳よりも高齢の者がフルタイムで働いている。また、Xは、健康状態について年相応に問題を抱えていたが、それが、フルタイム勤務ができないほどの疾病を有するとは認め難い。そして、Xの現在の出番数はフルタイム勤務(11出番)に満たないが、それは、Xが有給休暇を取得したことによるものであって、Xの健康状態の悪化等によりXが労務の提供をできないためであるとはいえない。そうすると、Xを引き続き雇用するに当たり、その労働条件を変更する必要性・相当性を認めるに足りる事実はないし、更新する契約内容の合意が出来なかった場合に更新を拒絶する(雇止め)ことの相当性も認められない」。